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そこそこの中堅冒険者(自認)の俺がパーティーを追放されて真の実力を知り逆襲の旅へ!?〜今度こそは普通の一般市民になろう!!!(強い意志)〜  作者: 酒粕
第四章 南海探究編

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第三百六十五話 うぉあいにー 言えるかな

セレスとアレスが見つめあったまま、数分が経過する。二人とも、まるで熱病患者のように顔を真っ赤にしている。....いや、まあ、あながちまちがってもいないか....。

にしても、二人とも何か行動を起こすという気配もない。


まったく.......世話のかかる生徒だ。


「セレス.....俺との約束忘れちゃったのかい?このままだと、俺の奥さんになる羽目になるぞ」


すると、セレスはハッとして口をぱくぱくさせる。

「.....!!!」


そうして、ゴクリと生唾を飲み込むと意を決して口を開く。

「あ、アレスっ!!!!」

裏返った声を必死に張り上げて、アレスの名を呼ぶ。


「はい!!セレス様!!!」

アレスも負けじと、上擦った声でセレスの名を呼ぶ。


「わ、私!!ずっと、あなたのことが好きで.....その!!嫌じゃなかったら....私と...け、け....結婚して欲しいの!!!」

今日一番の大声を更新し、瞳のダムは決壊寸前だ。


「め、迷惑などではございません!!!私も、セレス様を......セレスが好きだ!!!!お、俺と結婚してくれ!!」

対するアレスも精一杯の大声を張り上げる。


そうして二人は熱い抱擁を交わす。


.........この一言を聞くために、聞かせるために体を張ったのだ。


ただ、このひと言を聞きたくて、セレスはこんな大騒動を引き起こしたのだが....まあ、結果オーライという感じだ。

セレスのパパママもゴームズも涙ぐんでいる。


すると、セレスがこちらを一瞬みて微笑み、声を出さずに、なにか口をパクパクさせている。

「ありがとう」ってか.....こっちこそいいモン見せてもらったよ。


すると、今度はセレスは何かおねだりをするような...熱っぽい視線でアレスの顔....唇の辺りを見つめる。

.....おませさんめ


ここで、アレスは神がかったカンの良さを発揮する。


「セレス....愛してるよ」


「アレス...!!私も....むぐっ!!!」


部屋中に歓声が響く。その主は誰かわからない....そりゃそうだ。何人もの声が混じっているのだから。

「アレス!!!!よくやった!!!!」

セレスパパは、よくやったと言わんばかりのご満悦顔だ。かねてから二人をくっつけたかったんだろうな。


「セレスおめでとう!!!」

セレスママは目を真っ赤に腫らしている。彼女もまた、薄々二人の両片思いに気づいていたのだろう。


「セレス様!!うちのバカ息子をよろしくお願いいたします!!」

ゴームズはそう言って豪快に笑って見せるが、目元には涙が浮かんでいる。


「お父様!!お母様!!私....いま、とっても幸せよっ!!みんな、ありがとう!!!!」

セレスは満開の笑みでそれに応じる。


アレスは

「ジェームズ様、レベッカ様.....セレス様を一生お守り致します!!!」

と、力強く宣言し、セレスを抱き寄せる。


「おめでとう!!!」

俺もここぞとばかりに拍手をする。


「先生...その、わたしのせいで...迷惑ばかりかけて.....ごめんなさい!!!」


「【主人公】さん.....いえ、先生...!私の鈍感さのせいで...このようなことを...それにこれまでの無礼も....」


そう言って夫婦揃って、頭を下げてくる。.....意外と似たもの同士なのかもな。


「ははは....別に、俺は大したことしてないですよ....ただ....領主様からの恩賞まで使っちゃったんですから....幸せにならなかったら、ビンタしに戻ってきますからね」


「もう!!先生ったら!!そんなことしなくても、いつでも戻ってきてください!!」


「そうです!!!ぜひ、私たちのこれから生まれるかもしれない子供に武術や勇気の手解きを!!」


「ははは....困ったな」


そこで、セレスは手を叩いて妙案を思いついたような顔をする。

「そうだわ!!先生に生まれてくる子の名前を決めてもらいましょう!!!」


「名案です!!セレス様!!!!」


()()って....俺のセンスがその子の将来の()()を決めるような.....ごめんなさい。


でも、センスとか自信ないしな....

そんなふうに迷っていると、セレスが上目遣いでこちらを見つめてくる。ぐっ.....こちらは何もしていないのに罪悪感が掻き立てられると同時に、庇護欲というかなんでもしてあげたい欲求が刺激される。

「ここまでこんなにご迷惑をかけて......私ったら、無礼でしたよね......ごめんなさい」


俺はそれに屈する。...まあ、決して嫌なことではないんだが.....

「ははは....今度会うときまでに考えてくるね、ただ、センスとかは自信ないから...そこはご愛嬌ってことで」


「引き受けてくださるって!!!やったわね!!アレス!!」


「ええ、きっと...【主人公】さんのような、勇敢で知性あふれる方に育つでしょう」

おいおい....持ち上げすぎじゃないか?おじさん....調子乗っちゃうぞ?


「よし!!この場は無礼講だ!!!皆、存分に飲め!!!!」

すると、セレスパパがいつの間にか侍女に用意させていたワインが全員に配られる。

......もちろん、セレスはジュースだ。


「セレス様....本日はお酒をお飲みならないので?」

そう言ってアレスがセレスを茶化す。


「もう!!アレスったら!やめてちょうだい!!」

それにセレスが可愛く怒ってみせる。

「はは、失礼致しました!!」



こうして、王子様とお姫様はキスをして...このお話は終わりましたとさ.....











なんて、都合がいいのは絵本やディズニー映画の中だけのことらしい.....少なくとも悪趣味な神様はそう思ってらっしゃるそうだ。







純愛はいいぞおじさん「純愛はいいぞ」

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