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第三百六十二話 決闘

翌朝、俺は胡散臭いサングラスや水晶玉を処分したのち、セレスの屋敷へと向かう。


なんでも今日は、セレスのパパとママ、ゴームズ、それにセレスと俺で今後の予定のすり合わせを行うそうだ。

セレスはビクビクしていたが、俺は意外となんとかなるんじゃないかと考えていた。.....アレスが名乗りを上げるかどうかは賭けだが、ここで声を上げられないような男なら、そもそもセレスは惚れないだろう。


そんなこんなで、屋敷へ通される。



屋敷の広場には、先日あったゴームズ、緊張で顔を真っ青にしたセレス...そして、いかにも豪快な父ちゃん....という感じのセレスのパパに、妖艶な美魔女って感じのセレスのママがいる。

「.....お初にお目にかかります。【主人公】と申します」

俺は貴族の辞儀をする。


「うむ...我が名はジェームズ・アンブレラ.....この地の領主である。よく来たな、我が娘の想い人よ....君の武勇には心から感服しているよ」

って、セレスの実家ってこの町の領主だったのかよ......これ、あれだ...機嫌を損ねたら汽車乗れないんじゃないか?


そうして、セレスパパは続ける。

「それで....我が娘との婚姻の件だが、ぜひとも前向きに......」






「そのお話.....少々お待ちください!!!!」

彼がその話を続けようとした瞬間、広場に割り込む男がいる


「アレス!!!!」

セレスがめちゃくちゃ嬉しそうに声を出す。ゴームズとセレスパパママは驚いて固まってしまっている。

そんな俺たちを見て、アレスは続ける。

「その方ではセレス様を幸せにはできません...!!セレス様に飲酒をするように唆し、苦楽を共にした仲間を捨て、貴族に鞍替えするような男にはっ!!!」


....散々な言われようだ。


すると、正気を取り戻したゴームズがアレスを怒鳴りつける。

「お前!!!こんなめでたい場に割り込んでなんのつもりだ!!!!!」

これもまた至極もっともな意見だ。現状、アレスの発言は正論ではあるが、理はない。それに、セレスパパは静観に徹しているという感じだ....ならば、アシストをするか。

「.........あのような仲間と、貴族としてのの栄誉......どちらがより貴重かどうか、あなたのような聡明な方ならばわかるのでは?」


心にもないことだが、この場ではアレスにとって望ましい人間になってやる。.....大丈夫だよな?俺.....処刑されたりしないよな?


流石のセレスパパも絶句している。

「.......なんということを!」


アレスもまたブチギレだ....

「貴様!!正体を現したな!!!」


しかし、今度はセレスママが冷静に口を挟む。

「.......けれども、彼のような強者を家へ取り込むことができるまたとない機会でもあるわ....それに、彼らの関係性に対してアレスが特別詳しいわけでもないでしょう?頭ごなしに否定するのではなく、代案を示してはいかが?」

ガチ正論だ.....貴族として100%正解の回答だ。......ただ、俺のさっきの発言を聞いてめっちゃ顔を顰めていたのを俺は見てるぞ、なにより、手をめちゃくちゃ握りしめている様子から察するにあくまで「貴族」としての意見なのだろう。


アレスはそれを待っていたとばかりに、声を張る。

「ええ、もちろん代案がございます」


セレスパパは威厳たっぷりに応じる

「では、その代案とやらを聴かせてみよ」


アレスは胸を張って堂々と答える。


「はい!それは....私、アレス・ヤードマンにございます!」


よしっ!!よくいった!!!よおおおおし!!!


「アレス!!!!!!!!」

セレスが過去一嬉しそうな声を上げる。


「ほう.....アレス、お前か....ふむ、悪くない...というか、むしろ望ましいのだが....」

しかし、セレスパパは悩んでいるようだ。

まあ、セレスは現状、俺に恋しているという設定ではあるし、一応はアンブレラの大恩人である俺に対して半ば公式の形で婚姻を申し込んでいる現状だ。.....何か理由がいる。そこで、俺はプランβを始動する。


俺はなるべく悪そうな顔を心がけ、口を開く。

「へえ....なんだ、俺より自分の方が適任てワケですか.....船上では自分の護衛対象を俺に守らせておいて.....」

.......みんなの視線が痛い。.....ただ、もう少しの辛抱だ。俺は、セレスに目配せをする。


「そ、そうだわ!!アレスがそこまでいうなら、【主人公】様と決闘なさればよろしいわ!!!」

打ち合わせ通りだ。そして予想通りの大根。.....こりゃ、あれだな結婚の件が片付いたら、ここまでついた嘘も精算してやんないとな。


「いいですね!!セレス様!俺は決闘に大賛成です。もしアレスさんが勝てば、俺は婚約者になる権利を失う.....しかし、もし俺が勝った際には.....そうですね、ここまでの無礼の償いとして、アレスさんの首をいただいても?」


「なっ!!!」

セレスパパが絶句する。セレスママは冷静だ....いや、冷静そうに見えるだけか。


「アレス.....そんな危険な勝負....!!」

ゴームズさんも必死だ。


しかし、アレスは.....

「ええ、いいでしょう。私のこの首など、いくらでも捧げて見せましょう。他の皆様もよろしいですね?」



「.............................わかった、認めよう」

セレスパパが首を縦にふる。ただ、とんでもなく不本意そうだ。


そうして、修練場所の一角にある土俵みたいなところに案内される。

審判として立つのはゴームズさんだ。

「これより、アンブレラ子爵家の名の元に、アレス・ヤードマンと【主人公】との決闘を執り行う」


そうして、俺たちは向き合う。

アレスは剣を構え、俺は無手だ。


セレスが今にも死にそうな顔でこっちを見る........ちゃんと負けるから、そんな目で見るな


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