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第三百五十一話 毒蛇の巣

何とかアレスを誤魔化し、俺は養殖場へと向かう。

そこは、養殖場というよりは刑務所に養殖場がくっついているという表現が正しいのではないかと思えるほど物々しい雰囲気であった。修練場で聞いた話によると、本来死刑になるはずの『家具職人』であったが、いまだに在処がわからない遺体が多く、それを全て吐かせるまでは処刑できずにいるそうだ。奴自身もそれを知っており、遺体のありかを小出しにして自身の延命を行なっているというそうだ。.......とんでもない下衆だ。

俺はそんなことを考えながら、看守の案内によって彼の独房へと向かう。

それにしても看守の数が多いな、なんて考えていると、今日は憲兵からの要請で『家具職人』を厳重に見張っているということだ。なんでも今話題の『ドア男』の事件に関係しているとかいないとか。


そうして、『家具職人』の独房へ到着する。


彼は、手足を鎖で固定され、檻の外に控えた看守に常に監視されていた。

「.....【主人公】様、恐縮ですが....お話しの間も当施設の職員による監視を続行させていただきます」

そうして、ソーは鎖に繋がれたまま、檻の外に出される。


「わかりました」


『家具職人』ソー....不気味な外見に、顔面に入った蛇の刺青が特徴的な男だ。目の焦点もあっているのかいないのかわからない。

しかし、ビビっていても始まらないので『家具職人』に質問してみることにする。

「どうも....」


「おっ!また来客かあ.....なんだい?俺が巷で流行してんのかい?」


「黙れっ!!!」

彼が下品な笑みを浮かべてそんなことを言うと、横についていた警備の人に棒でぶっ叩かれる。

「へっ!!怖い怖い.....そんで何の用だい?....『ドア男』なら知らねえぞ?」

彼はその痛みに反応もせずに、続ける。

「......俺が聞きたいのは一つだけだ。あんたが逮捕された時のことを知りたい」


「.........なんだ、そんなことかい....そういうのはベルボーイにでも聞けばいいだろ?ったくよお...嫌なことを思い出させやがって...」

などと渋るソーに対して看守が怒鳴り声を上げる。


「貴様っ!客人の質問に答えろ!!さもなくば、今日の睡眠を許さんぞ!!!」


そう言われると、ソーはわざとらしく肩をすくめ話し始める。

「....へいへい、ああ、ありゃ、雨の日の晩だったかな....色町の娼婦とその客をバラして、俺のアトリエで椅子を作っていた時のことだ....ラッキーな夜だった。椅子の足に必要な大腿骨がちょうど四本手に入った日だったからな....ひひひ....ただよお、あの娼婦の野郎が解体の時になって目を覚ましやがって、金切り声をあげやがったんだ...それに釣られて客のやつも目を覚ましやがって、最悪だった....そんで、その声を...誰だっけな..あの騎士団長の息子の...」


「....アレスさん、ですか?」


「ああ!!そうそう、アレスだ!そいつに嗅ぎつけられちまってよお.....俺のアトリエに土足で踏み込んできやがったんだ....そんで、あれだ、俺はお縄さ.....まあ、最後に降参するふりをしてあいつの腹にデカい一撃をくれてやったから、痛みわけだな....あの野郎....腹から血をダラダラ流しながらも俺の関節を極めた腕を離しやがらなくてよお....あれだな、今度シャバに出たら、あいつの体でドアマットでも作るかね...へへへ」


俺はあまりにも下劣な話に声が出ない。そんな俺の代わりに看守がソーを棒で叩きながら彼を怒鳴りつける。

「貴様が、この刑務所から出るときは首を吊られて、燃やされる時だけだ」


「ひひひ....案外わかんねえぜ?」


そうして俺は看守に礼を言って、刑務所を出る。


最悪な気分だが、これでアレスの傷の正体はわかった....あとはあの包帯の謎を解くだけだ....いや、まあ、何となく想像はつくが.....


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