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第三百四十八話 アレス攻略作戦

前半はセレスの視点、後半は三人称視点という構成になっております。分かりにくくてごめんなさい。

先生が部屋を退出された後、私は深く深呼吸をする。


もう数分もすればアレスがこの部屋へとやってくる。

先生に授けていただいた作戦は「ボディータッチ作戦」......そんなはしたない真似、なんてことも考えが一瞬頭をよぎったけれど...先生が語ってくださったミア殿下とのお話や遠い故郷にいるという恋人の方とのお話は、物語の中に登場する恋愛しか知らない私には刺激的なものだった.....そんな経験をした先生の作戦が間違っているわけがない。

それに、アレスがあの逞しい体で私を抱きしめ、アレスと口付けを交わし、そして......なんて、考えると一刻も早くアレスの心射止めたいという堪え性のない私が行動を急かすのだ。


しかし....酔ったふりをして、自然なボディータッチをする......なんて言っても、私にはそんな器用な真似は到底できっこない。アレスに拙い演技を看破されて『空瓶でオトナごっこでしょうか?....まだまだお子ちゃまですね笑』なんて笑われてしまうのがオチだ。.....ならば、と私は侍女に用意させた()()()()()()()()()()()。........帝国では飲酒は16になってからという法律がある。父に知られたら大目玉を喰らうが、アレスが他の女に取られることに比べれば些細な問題だ。


〜数分後〜



「セレス様、どうなさいましたか?....もしかして、【主人公】様にこっぴどく振られてしまわれましたか?」

そう言いながら、ニヤニヤしているのはアレスだ。....私がこんなにもアレスのことで思い悩んでいるというのに、能天気にそんなセリフを吐けるアレスに少々腹が立つ。


「なんなのよ〜!!!あなた.....ちょっとこっちにきなさい!!!!!!!」









部屋に入ったアレスが目にしたのは顔を真っ赤にして、幼い子供のように大きな声を出して暴れるお嬢様であった。

「.......酒臭い、まさか!!」


「なによ〜?ご主人様に、くさいなんていうわけ!!!」

そういってプンプンと怒るセレスを見てアレスはセレスの予想に反して態度を見せる。

「セレス様!!お酒を飲まれてしまったのですか!!」

いつものお茶目なからかいの態度ではなく、主の身を案じる保護者のような表情を浮かべる。


「ええ、そうよ!何か....ヒック....悪いかしら?」


「まさか....【主人公】様に....!?」


「先生はかんけいない...わ!!......それに、アレス!!ご主人様の言うことが聞けないのかしら!!!...はやくこちらへきなさい!」


「『先生』.....?.......お嬢様、少々休息なさってからでもよろしいのでは?」


「いいから、はーーやーーくーー!!!」

バンバンと椅子を叩くセレスに促され、アレスは渋々セレスの方へ近づく。


アレスはセレスの前に跪く。

「.....セレスお嬢様、どういった御要件でしょうか?」


「.....そうじゃないわ!!!」


「そう...ではない、とは?」


「そばにこいと言ったら、膝の上に座るのよ!!!わたしのうえに!!」


「私は従者ですので..........」

アレスは困った顔で応じる。


「.....わかったわ、ただし......いまから、私が良いと言うまで、動くことを禁止するわ!!これは命令よ!!!」


「..........承知しました」


そうして、セレスは椅子を降りると、アレスの体を弄り始める。

手始めにアレスの手を握る。

「......ふふふ、あったかい」

続いて、その手に頬擦りを始める。

「お嬢様!!!!」

アレスの狼狽した声は気に留めず、セレスは続ける。

「ゴツゴツした手.....剣をいっぱい練習したのね.....えらいわね、よしよし」

今度はそう言いながら、アレスの頭を撫でる。

「お嬢様....お戯を.....」


次にセレスは、アレスの鎧を脱がせ始める。

「なにをなさるのですか!!!」


「うるさいわね....動いたら、許さないわよ!!」

アレスは顔を真っ赤にしながらも、黙って命令に従う。その表情は、主人の突拍子もない行動に困惑する従者というよりは、一人の年頃の青年のようであった。

そうして、セレスは鎧の下にあるシャツをそのまま脱がせ始める。

「お嬢様!!このようなはしたない真似は!!!」


「なによ!!私のことがそんなに嫌いなの!!!???」


「そ、そういうわけでは....」


「ならいいじゃない.....」


「よくありません!!人を呼びますよ!!!」


「呼べばいいじゃない!!!」


しかし、酔った貴族令嬢と、半裸の騎士......人を呼べばどうなるか、それはアレスが一番よくわかっていた。

「.....」


そうして、あれすは上半身の服を全て脱がされ半裸になる。

「.....ふふふ、すごいきんにく....」

そう言って、セレスはアレスの腹筋を触り始める。

「お嬢様!!これ以上はなりません!!」


しかし、恍惚とした表情を浮かべながら、アレスの胸に体を預けるセレスにはその静止の声は届かない。

「すごい筋肉ね.....かっこいいわ、それにとってもあたたかいわ」


「お嬢様.....」

アレスもまた、セレスとはまた別の要因で顔を真っ赤にして、必死にその状況へと耐える。

しかし、その直後、セレスはアレスの体に刻まれた「あるもの」を発見する。

「.....!!!アレス!!怪我してるじゃない!!!大変!!誰か呼ばないと!!!」

そう言って、セレスが立ちあがろうとする。

しかし、この場に人を呼ばれ、あらぬ誤解を生みたくないアレスはそれを抑え込む。

「お嬢様....落ち着いてください。この傷は6年も前に完治しております.....覚えておいででしょう?」


「覚えてないわ!!.....でも、ならいいわ!!」

その言葉を聞いた瞬間、アレスは一瞬悲しそうな表情を浮かべるも、すぐに取り繕う。

そうして、今度は立ち上がる。

「ちょっと!!勝手に立たないで!!!」


「......お嬢様、これ以上はいけません......私があなたのお父上から処罰されてしまいます」


「..........わかったわ。でも、さいごにセレスってよんで」


「ええ.....お安い御用です、セレス様」


「ちがうわ『様』をつけちゃダメよ!!」


「そういうわけには参りませんので」

そう言って、アレスはセレスを寝室へと運び、彼女をベッドへと寝かせ、彼女が寝息を立て始めるまで寄り添う。


そうして、彼女の頭をそっと撫で、部屋を出る。

「おやすみ、セレス」




















それから数時間後、目を覚ましたセレスは酔っている間のことを何も覚えていないことに絶望するのであった







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