番外編 『千年伝説 別冊』〜帝国と貴族の統治について〜
ソラリス大陸全域、及びフィーデス大陸北部を支配する帝国には以下のような階級制度がある。
皇帝:帝国の絶対的支配者。国家は皇帝による専制政治によって運営されている。基本的には世襲制で皇位が譲られていく。
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皇族:皇帝の子息及び妻。皇位の継承者である長男以外は有力貴族に婿入り、もしくは嫁入りを行う。公爵家を創設し、その当主になるケースも多い。
公爵家:皇族が当主を務める家柄。帝都近郊に小規模な領地を持ち、帝都に本邸を構え大臣などの国家の運営に携わる役職を務めることが多い。また、皇帝の後継がいない際のスペアを用意するという役割を持つ。
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辺境伯家:帝都から離れた場所にある、経済や軍略、交通の要地を統治する貴族の家柄。皇帝一族ではない貴族では最高位である。国家の屋台骨であり、公爵家や皇族、皇帝に対しても強い発言力を持つ。独自の軍隊や経済基盤を持ち、周囲の貴族を寄子として支配する。
明治期の日本における華族制度や、君主制のヨーロッパ諸国に見られる「侯爵」に該当する位置。
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伯爵家:広大な領地と寄子を支配する貴族。領地の規模や血筋だけで言えば、辺境伯家に匹敵する。その違いは支配領域が要地であるか否か、農業や漁業、炭鉱など独自の経済基盤を持つ家が多い。独自の軍隊や経済基盤を持ち、周囲の貴族を寄子として支配する。
有力騎士:帝都にて高級将校や将軍などを代々輩出する家柄や有力貴族の騎士団の長を務める家柄。領地や経済基盤を一切持たないが、軍事的、政治的には強い影響力を持つ。
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子爵家:中規模な領地を支配する一般的な貴族。また、庶民から取り立てられた家柄にはこの爵位が与えられる。しかし、その中でもヒエラルキーがあり、バルジャン子爵家が帝都の大学を運営するなど、比較的新興の家柄は国政において独特な役割を持ち、影響力も強い。しかし、大半の子爵家は伯爵家や辺境伯家の寄子となっているケースが多い。
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男爵家:貴族の最下層。地方の街一つレベルの小さな領地を持つ。貧乏な家というものはそうそうないが、伯爵家や辺境伯家に従属する家柄。帝国成立とともに誕生した上記の家柄とは異なり、帝国成立前から、その地で地主や有力者だったものが多い。言い方を変えれば最古の貴族でもある。
その他騎士の家柄:各地の貴族に仕える騎士の家柄。仕える家の家格によってその立場は大きく変わるが、概ねこの位置。武功によって出世するパターンもあるが、前例はほとんどない。
これらの貴族が皇帝から領地の支配を委任されるという名目で成り立つのがこの帝国である。
中世〜近世によく見られた中央集権と地方分権のハイブリット国家の典型であり、その統治システムには特異性は存在しない。しかし、その権威はこの世界においては絶対であり庶民である読者諸君はその立ち振る舞いには注意が必要だ。
また、独自の文化背景を持つ点においては非常に興味深いサンプルである。
追記:本書は皇帝陛下及び、それに仕える貴族に対し批判的、侮辱的意図を持って執筆されたものではないことをここに明記する。皇帝陛下万歳!!!