第三百三十三話 アンブレラにて
短いです
それから二日かけて俺たちの乗った連絡船はフィーデス大陸最北端の港町「アンブレラ」へと到着する。もともとただの海岸だったこの町を開拓したアンブレラ子爵の名にちなんだ町であるそうで、帝国の支配領土の最南端であるそうだ。その街並みはお世辞にも洗練されているとは言えない。渡航してきた貴族や商人が滞在するエリアを除けば、その街並みはカハートと大差ない。ザ・開拓地という感じだ。まあ、それも無理もない。この地を開拓したのは現在の領主の父にあたる人物で、ここから南下した蛮族地域やその先にあるアスポワルと正式な国交が結ばれたのも五十年程前の出来事だからだ。
ちなみにこの話は船の騎士の人たちが教えてくれた。なんでも、船の渡航の権限の管理と船の整備、中での食事なんかはウォレス辺境伯家、船の警備や客の受け入れはアンブレラ子爵家という取り決めがされているらしい。.........海を隔てるだけで、ここまで騎士の質が変わるとは....いや、エスポワルが腐敗しすぎてるだけか...... 。
俺たちは騎士団の人達に盛大に見送られながら下船する。
「とうとう、到着ですね!!!」
「ああ、結構感慨深いもんだな」
「......宿を取って移動手段を探さねば」
「ええ、船に乗るだけでもあの苦労....国境もタダで渡れるとは思えません」
「リイさんの言う通りですね....俺たち、そもそもこの世界の住民じゃないですしね」
「ああ....戸籍なんかもねえ流れモンだしな、まあ...最悪は密入国だな」
「止むを得ませんか....」
そんなこんなで俺たちは宿を取り、各自情報収集のため町に出る。
ゾロ目ですね!!
新章「毒牙編」スタート!!
なんとか今日からペース戻せそうです