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第三百三十話 五臓六腑

俺たちは重たい体を引きずって、朝食へ向かう。

朝食もビュッフェ形式であり、サンドイッチやスクランブルエッグ、白米やシャケといった重すぎないものが並んでいる。

俺たちは食事を確保し席につく。

俺はシャケと漬物、おにぎりとしじみ汁だ。

しじみ汁を飲んで、飲みすぎた体を内から癒していく。


ホワイトさんはトーストとコーヒー、スクランブルエッグとベーコンを少々とかなり控えめな様子だ。そして、しじみ汁も忘れてない。

「くぅーーー....酒をたらふく飲んだ後のしじみ汁は沁みるなあ....」


「ええ、体の芯からあったまっていきますね」


リイはサラダを数種類と、数種類のサンドイッチ、そして俺が薦めたしじみ汁だ。

「.....臓物が湯に浸かっているかのような...心地よい気分ですな」

しじみ汁を飲み、そう感想をこぼす。


義輝さんも俺と大差ないメニューであるが、皿には唐揚げが二つだけ盛られている。よっぽど気に入ったらしい。

「へえ...唐揚げがそんなに気に入ったか、にしても朝から揚げ物イケるなんて、さすが武士だねえ....」


「食らえるときに食らう、それが戦場での嗜みだ」


ふと、警備の騎士をみると、騎士達が少々疲れているように見える。

「あの....なんか、騎士の人達....疲れてません?」


「たしかにな...あの騎士なんて、腕に包帯巻いてやがるぜ」


「何かあったのでしょうか?」


「......昨晩、船が揺れた。それが原因ではないか?」


「やっぱ、義輝さんも気づいてたんですか....」


「そういえば、皆さんが寝静まってからしばらくして人間の騒ぐ声が聞こえておりました.....夢だと考えておりましたが...」


「俺はなんも気づかなかったが....妙だな、ちと、行ってくるかね」

そう言って、ホワイトさんは先ほど話題に上がった腕に包帯を巻いた騎士へと話しかける。

「なあ...騎士殿、俺は治癒魔術が使えるんだが、その怪我治してやろうか?」


騎士は丁寧に受け答え、頭を下げる。

「それは本当ですか?では....是非ともお願いしても?」


「.....その代わりと言っちゃなんだが、昨晩何があったか教えてほしんだ」


騎士はキョロキョロと周りの様子を伺い、話し始める。

「........ええ、お安い御用です。ですが、お客様へこの件を話さないようにと上官から言われておりますので...」


「ああ、誰にも言わねえよ」


「.....昨晩、日が回ってからでしょうか....『ブルーサーペント』という竜型の獣の群れに船が襲撃されまして....幸い、この船には十分な戦力が乗船しておりますので、死者を出すことなく撃退できたのですが、騎士がその襲撃で大勢負傷してしまいして.....治癒術師は一人しか乗船しておらず、治療も間に合わないという現状でして.....」


「なるほどね....つってもブルーサーペントってのは普段は巣から出てこねえ獣じゃなかったかい?」


「ええ、巣を刺激しない限りは穏やかな獣というはずなのですが....」


「ま、俺たちの仲間はエスポワルの闘技大会で優勝してるんだ。いつでも力になるぜ」


「そういった事態にならないように力を尽くすのが我々の責務ですので....」


「さすがだな.....っと、治癒魔術だったな」


「傷、癒えろ」

ホワイトさんの魔術によって傷が治った騎士は丁寧に礼をしながらさっていく。

「....っつうわけらしい」


「なるほど....用心に越したことはありませんね」


「.....妙ですな、一頭ならまだしも騎士が疲弊する量の獣が押し寄せるとは...」


「何者かに巣を襲撃され、それで人間を襲ったのやも知れぬ」


「まあ、ここの騎士どもは間違い無く手練だ。取り越し苦労ってやつさ」

そうホワイトさんが会話を締めくくり、俺たちは未だ、アルコールでだるい体を本調子に戻すべく、浴場へと向かう。


私はレモンサワーを二杯飲んだだけで、嘔吐してしまうので二日酔いとは無縁ですが、そんなに辛いんですか?

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