第三百二十八話 一汁三菜っていうけど、一汁一菜二肉一甘とかのほうがテンション上がるよね?
そんなこんなで時間を潰していると、アナウンスが再度鳴り響く。
『お食事の時間になります、一等客室のお客様は第二ホールへ、二等室及び三等室のお客様は第三ホールへお集まりください』
ふと窓の外を見ると、そこには暗黒がある。どうやら、相当話し込んでいたらしい。
「へえ....上級貴族サマは庶民や下級貴族とは同じ部屋で飯が食えねえってコトかね」
「まあまあ....俺たちだってそういう人たちの顔色伺いながら食事したくないでしょう?」
「ははは....確かに言えてるな」
「......では行くぞ」
「ええ....どれほど豪華な食事が我々を出迎えるのか.....少々楽しみです」
「ああ!!たらふく食って元を取ってやろうぜ!!」
「......節操の欠片もない、が...腹が減っては戦もできぬ」
そうして第三ホールへと到着する。客層はかなり上品な人々のみで構成されており、出入り口には警備の騎士が佇んでいる。
そして、そこには、眩暈がするほどたくさんの種類の料理が並んでいる。
「.....ビュッフェ形式か、いいねえ」
「うわー!!懐かしい!」
「ほう....中心部に集まる料理から各々が好きに選ぶ....ですか、合理的ですな」
「.....魚もあるではないか」
そうして、俺たちは指定された席へと座り各々が食事をとりにいく。
俺は、まずは肉料理コーナーへ足を運ぶ。そこには、唐揚げやローストビーフ、ハンバーグ、ベーコンと多種多様な料理が並んでいる。そこではすでにホワイトさんが唐揚げやベーコンを皿に山盛りにしている。
「ははは....ホワイトさんはブレないですね」
「おうよ!好きなもんを好きなだけ食うっつううのがビュッフェの醍醐味だろ?」
「はは、確かにそうですね」
次の野菜コーナーではリイが顎に手を当てて吟味をしている。
「リイさんはサラダ目当てですか?」
「ええ....エスポワルは、肉料理や揚げ物は美味でしたが、野菜は少々....いえ、かなり古いものが多かったので...」
「たしかに....ダイナーで食べたサラダとか萎びてましたもんね....」
「ええ....【主人公】さんも肉ばかり喰らわず、野菜もお召し上がりになってください。『薬食同源』とも申します。不摂生ばかりでは体が壊れてしまいます」
ホワイトさんにそっくりそのまま聞かせてやりたい。
「そうですね!!じゃあ...俺はこの温野菜にしようなかな!!」
そして、俺は席へと戻る。
そこにはすでに義輝さんが座って待っていた。
彼のプレートには焼き魚、漬物、きんぴらごぼう、白米、味噌汁。そして、寿司が何貫か乗っている。
「義輝さんはさすがバランスいいですね!!」
「うむ.....一汁三菜は基本である、が.....この後は少々、他のものを選ぶつもりだ」
「いいですね!!」
そうして、全員が席へつく。
ホワイトさんの皿はというと、まっ茶色だ。唐揚げ、ベーコン、ハンバーグ。他にも寿司や天ぷらなど、食べたいものを集めてきましたって感じだ。そして、当然ビールをジョッキになみなみ注いでいる。
「うわ....胃もたれとかしないんですか?」
「はっ!!胃もたれっつうのは治癒魔術で改善できるんだ!」
「なる前提なんですね....」
「......童のようだ」
「野菜は召し上がらないので?」
「いや....野菜もここにあるぜ!」
そうして、ホワイトさんが指差すのはフライドポテトが山盛りのに盛られた皿だ。
それ、病気になっちゃう人の理論では?
「お前らもつまんでいいからな!!」
「はは...どうも」
リイの皿は、野菜が中心ではあるものの肉や魚、米などがバランスよく守られている。特に特徴的なのは、3×3の窪みがある四角形の皿に綺麗に盛られたサラダたちだ。
そして...その横には意外なことにカレーが置かれている。
「おっ!!リイの旦那!ビュッフェでカレーなんて、通じゃねえか!!」
「ほう...この汁物はカレーというのですか...」
「はい!たしか....インド...天竺の料理で、白米にかけて食べるんですよ!」
「ほう.....かの三蔵法師が訪れたという....興味深いですな」
そうして、俺の皿。
唐揚げ、ハンバーグ、寿司、温野菜、オレンジジュースにパン、となんの面白みもない布陣だ。
「小僧は....安定択だな!!悪く言やあ...つまらねえ!!」
「ははは....」
「ホワイト、お前の食事が特異なだけで私たちの食事はいたって普通だ」
「たしかにな...【剣豪】もザ・和食って感じだしな....」
「じゃあ...頂きましょうか!!」
「おうよ」
そうして、俺たちは食事を始める。
そうして、二周目、三周目と食事を繰り返し、最後は全員で酒を乾杯して食事を終える。
「よっし....んじゃ、ここで酒とつまみを調達して部屋で二次会だな!!」
「いいですね!」
「ホワイト....酒は私とリイが取ってくる。貴様は【主人公】と酒の肴を持って来い」
「おいおい....そりゃねえだろ!!俺の酒が信用できないってか!!」
「できないです....さあ、ホワイトさん!行きますよ!!」
そうして夜は更けていく。
私は好きなものばっか盛っちゃうタイプです。
かつて行ったホテルのビュッフェでは手羽先の唐揚げばっか食べて、祖母に嗜められました。
今週は話の執筆が間に合ってないので、一日一話ペースで行きます....自動車学校の卒検が近くて....