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第三百二十六話 良薬は口に苦し

俺たちは今、船に揺られている。

俺たちの客室は三等客室というもので、上級貴族用の一等客室や、過給機族用、商人用の二等客室には劣るものの高級ホテルのようだ。四人部屋とは思えないほど、広々としており、窓からは美しい大海原が見える。

係員さんの説明では、俺たちは現在ウォレス辺境伯家の権力の庇護下にいるため、最低限の敬意こそ必要であるが、他の乗客に必要以上に萎縮する必要はないそうだ。

これから、数日かけて海を渡り、フィーデス大陸へと到着する、そうして、帝国支配下の港町から列車に乗ってアポステルと帝国の間にある蛮族たちが住むエリアへと移動することとなる。

「はあ......随分遠くまで来ましたね」


「ええ、ですが....まだ、我々の旅は開始地点へ立ったにすぎません」


「うむ....リイの言うとおりだ。【主人公】....あの妖狐との接吻で魂が抜けたか?」

そういって義輝さんはニヤリと笑う。


「ちょ...ちょっと〜」


「ははは、ですが....あなたのお気持ちも理解できます。あのような、美しい女性に口付けをされては心が揺らいでしまうのも無理はありますまい」


「確かにな....あの女狐、尾張で見た市という女に勝るとも劣らない圧倒的な美貌であった」


「へー...義輝さんもそう言うの興味あるんですね」


「......ないとは言っていないだろう」


「.......にしても、ホワイトさん....大丈夫ですか?」

普段はこういった会話に嬉々として参加するホワイトさんは船酔いでダウンしている。ベッドに横になり、目にタオルを当ててうめいている。


「.....これが、大丈夫に見えるか?」


「ふん.....お前は少々騒がしすぎるからな、これを機に黙ると言うことを覚えたらどうだ?」


「う、うるせえやい!!......うっぷ」


「ちょっと....ホワイトさん!ここじゃダメです!!」


すると、即座に義輝さんが係員からもらっていた桶をホワイトさんの口元へ据える。....よっぽど、この前部屋で吐かれたのが嫌だったと見た。


そこでリイが口を開く。

「効果のほどはわかりませんが......ツボ押しはいかがですか?」


「リイさん...そんなこともできるんですね!!!」


「故郷に伝わる民間療法に過ぎませんが、病は気からとも申しますので....多少の気晴らしになればと」


「オーケー.....頼む」

そうして、リイがホワイトさんの手首を掴み圧迫する。

「ぐああああああああ!!!!!」


すると、あまりの痛みにホワイトさんが絶叫する。

「リイの旦那!!ストップ!!ストッッップ!!!!」


「効いている証拠ですぞ、もう少しの辛抱です」


「この...!!俺になんか恨みでもあんのか!!」


「ははは....御戯を」


それから10分ほど、賢者様の情けない叫び声が部屋に響き渡る。


「はあ....はあ.....いや、しかし..吐き気が嘘みてえに消えちまった」


「ほう.....余程単純な男と見た」

そういって義輝さんは笑う。


「はっ!!!確かにてめえみたいな堅物には効くもんも効かねえだろうよ!!」


「ははは....」


「さすが、リイの旦那だ.......」


「光栄です」


そうして、俺たちはウォレスの悪口や今後の旅の予定、くだらない雑談なんかに花を咲かせる。

「にしても、船なんて乗るのは初めてだ....案外悪くねえな」


「ええ、もっとグラグラ揺れて、俺もどっかの賢者様みたいにダウンしちゃうかと思ってたんですけどね」


「おっ!!言うじゃねえか!!」


そんな感じで話していると、アナウンスが入る。

『本日は大陸連絡船タイタニックに御乗船いただき誠に感謝いたします。私は船長のオキタと申します。ヤマトの船乗りとして三十年勤めあげました。そこで培った技術と経験で皆様の安全な船旅を保証いたしますので、どうぞ心ゆくまでお寛ぎください』


そのアナウンスを聞いた俺とホワイトさんは凍りつく。

「い、今....なんて...」


「うっそ、だろ....」


「はて?何かまずいことでもおしゃっていたでしょうか?」


「......何も問題は無いように聞こえたが」


「べ、別に問題があるわけじゃねえんだ....でも、なんつうか....」


「船の名前の縁起が悪過ぎるというか.....」

そうして、俺たちは「タイタニックの悲劇」について二人へ話す。

「ほう.....斯様なお伽話が....」


「実話を基にしているとは興味深い....」


「ええ、現代日本で一番有名といっても過言ではない沈没船と同名だなんて....すごい偶然ですね」


「ふん.....それを言って仕舞えば森羅万象全ての物事が何かしら縁起が悪い物事と結びついてしまうであろう」


「義輝さんの時代の人たちって、そういう縁起とか大切にしそうなのに不思議ですね...」


「私が信じるのは私の刀だけだ」


「私も足利殿に同感ですな....この船とその船とは全くの別物、その事実だけが真実なのです」


「頼もしいねえ.....まあ、沈没しても俺が魔術で助けてやるから安心しろよ」


「俺、泳げないんで...みなさん助けてくださいね?」


「ええ、私が【主人公】さんを担いで泳ぎますので、ご心配なく」


「さすがリイさん!!」


そうして、俺たちは談笑を再開する。






チェンソーマンのレゼ編見に行ったけど、パナいっすね.....感激し過ぎてCD買っちゃいましたよ....限定版って言うんすかね、あの、レゼのアクスタついてくるやつ

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