第三十話 意味
「あ〜生き返るう〜〜」
「ああ...極楽だね、わざわざ来た甲斐があったよ。」
「....同感だ。ダンゾウのやつには感謝しなければな」
「いやー..こうして温泉に浸かってるとなんだか「生きてる」って実感しますね」
一度死んだ俺が言うんだから間違いない。ここまで散々辛い目に遭ってきたが、それへのご褒美がこれだと言われれば納得してしまうくらいには気持ちが良い。やっぱり、温泉は日本人の魂だ。
「そうだね、僕たちが今こうして元気に温泉に浸かってられるのは【主人公】くんのおかげでもあるんだ。あの日、君がいなければ僕たちのうちの誰かが死んでいたかもしれない。そうならなかったのは君のおかげさ。だから改めて礼を言わせてくれ。 ありがとう」
「いやいや、俺のほうこそ「黄金の矛」のみんなには、特にゴルドさんにはお世話になってますよ。そもそも、俺がいなかったらワイバーン討伐の依頼を受けなかった可能性もあるし......それに、俺を『黄金の矛』に誘ってくれたのもゴルドさんだし..」
「それにね、君がいることで僕たちはもう一歩、先へ進むことができるかもしれない。」
「もう一歩...って?」
「僕たち「黄金の矛」は今でこそ、若手のSランクパーティーとして名声を集めているけれど、10年もしてしまえば、また別の天才達が現れて僕たちが今座っている席へ座る。そして、さらに10年もすれば僕たちも引退を考え始める時期だろうし、そうすれば僕たちは「名無しの天才達」の一つとして忘れ去られてしまう。【主人公】くんは生きる意味って考えたことはあるかい?」
「....ありません、今までは生き残ることに夢中で....」
「.....そうか。僕はね、誰かの記憶に残り続けることこそが生きる意味だと思うんだ。」
「記憶に残る...ですか?」
「そうさ!!でも、僕たちの人生は長くてもあと50年、そんな短い時間じゃ人の記憶に残り続けることなんて不可能だ。じゃあ、どうすればいいと思う?」
「.....すいません。わからないです。」
「それはね、誰もが成したことのないような偉業をなすことだと思うんだ。」
「偉業..ですか」
「そう!!偉業!!」
「具体的には?」
「ふふふ....それはね」
「それは...」
「まだ秘密さ...いずれ、君にも話したいと思ってはいるがね」
「えーーー!!」
ズコー!!これがバラエティ番組だったらそんな効果音が聞こえてくるだろう。.....だが、今の会話だけでもわかる。
ゴルドさんは本気だ。
今はきっと試されているんだ、俺が彼の「夢」を託すに値するかどうか、ならば俺がやることは一つだけだ。というか、当初と何も変わらない「もっと強くなる」それだけだ。
「...それにしても、さっきからハンゾーさんやけに静かじゃないですか?」
「...確かに、......って、うわ、茹であがっちゃってるよ」
「と、とりあえず外に運びましょう!ゴルドさん、足の方持ってください!!」
「わ、わかった!」
.....なんか、締まらないなあ....
Dr.ヒルルクみたいなやつおるな
まじでここ数日、この話のタイトルがしっくりきてません