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番外編 或る剣豪

今回は久しぶりに番外編です。今回の番外編は今後の展開にもつながってくるのでぜひ読んでください!!!

これは、大昔の話。冒険者ギルドやそれに類するシステムがまだ確立される前の話。流れ者の或る剣士がいた。その男を指す個別の名称はなかったが、人は彼のその剣術の巧みさから「剣豪」と呼んだ。剣豪は寡黙で、冷淡であったが不思議と人の心を惹きつける魔力のようなものをもった男であった。剣豪は人に害を為す魔物を狩る職、現代でいうところの冒険者として生計を立てていた。剣豪は近隣どころか、国中に名が轟く腕利きであった。当時、剣豪のような人々は「獣狩り」と称され下賎な職とされた。そういった下賎な身でありながらも、剣豪は町娘や同業者の女から慕われていた。それは単に剣豪の剣の腕前が優れていた彼が有名人であったとか、そういった話ではなく無粋で乱暴者が多い獣狩りという職にあって、剣豪のように寡黙で魅力あるものが少なかったのだ、またそう言った底辺の職では見られない清潔感ある見た目とどこか気品のある立ち振る舞いであった。。言ってしまえば、色男だったわけだ。腕も立って、女にもモテて....しかもスカした男。そんな男がどういった扱いを受けるかなどわざわざ言うほどでもない。ギルドのような統括組織がなかった当時の獣狩りたちは、言ってしまえばチンピラ集団であった。彼らは徒党を組んで剣豪をいじめた。集団から爪弾きにされ、仕事の妨害を喰らってもなお、剣豪は意に介さなかった。いや、剣豪がその生来の無口さゆえに口に出さなかっただけの可能性もあるが、どっちにしろそれが獣狩りたちの精神を逆撫でした。とある満月の夜、話があると呼び出された剣豪を出迎えたのは優に30を超える獣狩りたちの姿であった。多勢に無勢、ものの数分後にはそこには剣豪の死体が転がっているはずだった。しかし、そこにあったのは獣狩りたちの死体であったのだ。全ての死体が急所を一撃で切り裂かれていた。とは言っても、獣狩りたちとて腕利きだ。獣狩り達からの反撃を喰らった剣豪は生きるか死ぬかの重傷を負った。剣豪は傷を癒すために町の温泉に浸かり、そこで快復した。そこからだんだんとこの話が広がり、出来上がったのが桃源郷、と言うのが「セウントの街」の成り立ちだ。しかし、この話には誰も知らない続きがある。この日以降、剣豪の姿を見たものはいない。厳密には()()()()()()姿()の剣豪を、だが。それまでのゴロツキらしからぬ清潔感ある見た目や立ち振る舞いはなくなり、常に腐臭とも言えるような悪臭を身にまとい、獣のように食事をする姿が度々見られた。彼は、いつしか剣豪ではなく「悪鬼」と呼ばれるようになった。しかし、そう言った悪い噂は町の権力者たちの耳に入り、街に悪評が立つことを嫌った彼らはすぐさま箝口令を敷いた。月日が経って、セウントの人々は「剣豪」と「悪鬼」が同一人物であることを忘れてしまった。そして、「セウントの街」には剣豪伝説の影に隠れるように「悪鬼伝説」が息づいている。この町の人間は決して満月の晩に外出をしない。

この街で育ったものならば必ず耳にするフレーズがある。 

「満月の晩は悪鬼に喰われるぞ」

なんか、最近読んでくれる人多くて嬉しい!!

追記 誤字脱字を大量に発見したので修正しました。投稿してすぐに読んでくださった方すいません!!

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