第三百十一話 THE POPCORN
轟音と共に弾丸が発射される。あとほんの数秒で俺の脳が貫かれるだろう
そこまでは予想通りだ。
俺は先ほど、倉庫から持ち出していたものをベガに向けてぶちまける。
「食らえ!!!」
「うおっ!!なんだこりゃ....ポップコーンか!!!」
俺とベガの間の空間を舞う無数のポップコーン。
「これで視える」
弾丸は不可視なだけ、実体はある。
弾丸は進路上にあるポップコーンを弾いて進む。
「そこだ!!!」
甲高い快音が響く
「ぐっ....!!」
そこにいるのは血だらけで右手を抑えてうずくまるベガ、そして俺だ。
「はあ....はあ.......くそっ!!ツイてねえなあ.....こんなガキに.....」
「ツイてないんじゃない、あんたが俺に負けた.....それだけだ」
「つまんねえジョークだ.....」
そう言ってベガは虚勢を張って見せる。
「.....いくつか聞きたいことがある」
「なんだよ」
「あんたらの言う『王冠』とはなんだ?」
「ああ.....小箱、拾ったんだろ?それさ」
「中身は?」
「自分で確かめろ」
「............」
「なあ....坊主、『ツキ』の正体ってなんだと思う?」
「......は?」
「俺はな...神なんざ信じねえ。だから、お祈りなんてメルヘンなもんじゃねえ.....それはな............」
「.........それは?」
「ポインター!!今だ!!!」
俺はベガのその声を聞いて、反射的に横っ飛びに回避する。
俺が背後を見ると、そこには誰もいない。
「醜い足掻きのことさ」
ベガの姿はその一瞬で消える。
直後、会場中に巨大な声が響き渡る。
「傭兵マックス撃沈ー!!!!!死線を制し決勝への切符を手にしたのは、ノウキン・バカケンシ!!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」