第三百九話 THE BULLET
俺とベガは対峙する。
「『王冠』、どこにある?返して欲しいんだ.....頼むぜ?」
俺は直感した。闘技大会の八百長の秘密....求めていたものこそが、この小箱であると
「...... 俺が持ってるよ」
そう言って懐を軽く叩いて見せる。
「お!.....ツイてるね、攫う手間が省けた。早くそれを俺に渡しな」
「断る」
「だろーな.....大会で優勝を目指すっつうなら渡せねえよなあ!!!!」
やっぱりそうか、などと考えた瞬間、轟音と共に何かが体を貫く。右肩に激痛が走る。
「......!!!」
「惜しい〜.....心臓を外しちまったぜ、悪いな」
「......なん、だ?これ.....」
俺は肩を見る。そこには何かに貫かれたかのような傷跡のみが残っている。
魔術か、視認できないほどの攻撃か....ギフトか....などと考えるうちに次が来る。
奴が心臓を狙っていたと言ったことを思い出し、横っ飛びで回避する。
しかし、今度は足に激痛が走る。
「ぐっ.....!!!」
「あーあ......ハンターが獲物にホントのこと言うと思ってんなら.....薬のヤリすぎだわな」
「くそっ!!」
俺は痛む体に鞭打って、商品が詰まった木箱の陰に飛び込む。
「見苦しいな.....もっとエレガントにイこうぜ?なあ?」
ベガはそんな俺を嘲笑いながらも、そこから動かない。警戒心が強いことで........
この街全部が奴らの「狩場」だとするならば、騎士団なんかに助けを求めるのは愚策中の愚策だ、それにどこに奴の仲間が潜んでいるかわからない。さっきの司会や対戦相手のように、誰が奴の猟犬か見分ける術はない..........
まずは他の誰かと合流しなければ。
BULLET:弾丸