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第三百七話 THE TURTLE

二日の休息日が明ける。

その間、義輝さんは刀の稽古に寝食以外の時間を充てていた。俺はといえば、宿の人から借りた工具を使って拾った小箱の解錠を試みていた。宿の少女がチラチラと義輝さんをみては水や布、大通りの屋台で買った海鮮の串焼きを渡していくという光景が散見された。流石に悪いと思ったのでなるべく宿の売店で買い物をするようにした。

義輝さんはその度に「.....感謝する」や「.....悪いな」とぶっきらぼうに返事をするだけだ。義輝さんらしいと言えばそれまでだが、もうちょっと話したりすればいいのになんて思わなくもない....まあ、彼女を旅に連れていくのなんて不可能だし、死ぬかもしれない身でなんの関係もない少女の想いに応えるわけにはいかないというのもわかるのだが.....とまあ、そういった感じで二日が終わる。この二日間でリイとホワイトさんとは顔を合わせることはなかったが、残された手紙にはこの街のマフィアである「ブリーダー」と領主の癒着があるということや領主主導の八百長が行われるのは決勝戦だけであるといったことが記されていた。これで、闘技大会の利害関係なんかも見えてきたわけだが、決勝戦に進まなければ話にならない。


そうして俺たちは宿の少女の声援を受けながらも、闘技場に向かい、選手控え室へと向かう。

しかし、控え室には以前のように対戦相手はいない。対戦相手はマックスという男で牙突流を修めた傭兵だそうだ。軽やかな戦士だろうという話を共有し、義輝さんと俺は別れる。





数分もしないうちに、闘技場の中心で司会の男がいつも通り声を張りあげる。

「とうとう闘技大会も折り返し地点!!!さて、と.....今日は旅行者の紳士淑女諸君へ向けた特別コーナー!!エスポワルの名所10選!!!............」


そうして、三十分以上の長話が終わる。


選手入場が開始する。

「それでは大変長らくお待たせしました!!第二回戦第二試合の開幕だあああああ!!!」


「「「「「わああああああああああああああ!!!」」」」」



「神速の貴公子!!謎に包まれた流浪人....ノウキン・バカケンシ!!!!」


「「「「「わああああああああああああああ!!!」」」」」



「対するは....戦場仕込みのテクニック!!俺の実力は金次第!!!マックスだあああああ!!!!」


「「「「「わあああああ.....???」」」」」


そこに現れたのは、前情報とは似ても似つかない全身を鈍重な鎧に身を包んだ大柄な男だ


「.....は?」

俺はそんなふうに思わず声を出す。......そんな時、俺の肩を叩く者がいた。






「よお.....坊主、ちょっと俺とお茶しないかい?」

TURTLE:亀

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