第三百三話 THE OFFSTAGE
繁栄と希望に満ちた街、エスポワル底影に潜む者が二人。異界からこの世界に導かれた詩人と科学者だ。
彼らはこの街の闘技大会にまとわりつく八百長の正体を掴むべく調査に明け暮れている。彼らはバー「Five Coins」で休息をしながら、情報の整理を行なっていた。
ちょうどこの日は大会前日。決定的な何かを掴めない二人は焦燥感を募らせていた。
「....リイの旦那、この闘技大会思ってたよりもきな臭いかもな」
「ええ、街の領主だけでなく街最大の賊が関わっているとは.......」
「ああ、腐りきってやがる」
「明日は大会本番です。いかがいたしましょうか、足利殿の激励に馳せ参じましょうか?」
「いや、小僧に任せりゃいい。あいつは太鼓持ちの才能がある」
「たしかに、【主人公】さんはいらっしゃるだけで場が和みます」
「俺らは、その賊とやらに話を聞こうぜ」
「承知いたしました......たしか、『ブリーダー』と言いましたか」
「ああ、アジトやボスなんかはわかんねえが溜まり場がいくつかある。そこにお邪魔しようぜ」
「相手は賊、容赦は不要ですな」
「ああ、明日の朝に仕掛ける」
「承知」
そうして彼らはシェイクをズズズッとストローで吸い込む。
「このシェイクバカ美味えじゃねか!!なんでこんな完成された食べ物に変な葉っぱなんて混ぜるのかねえ....」
「まさに『蛇足』ですな」
そうして彼らは再び闇へと潜る。
OFFSTAGE:舞台裏