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第二百八十九話 THE PROFESSIONAL

そこはエスポワルの裏通りのとある路地裏。


そこに佇む二人の男。


一人は真っ黒なスーツにこれまた真っ黒なネクタイを締めた、控えめなアフロヘアーが特徴的な浅黒い肌の男。腕には黄金の腕時計が場違いななほどに輝いている


もう一人は豪奢な服を自身の血で真っ赤に汚し、地面に座り込む男。


男が地面に座り込む男に語りかける。その口調は場の雰囲気に似合わず、軽妙だ。


「ところでよ、ダックマン......船着場の近くにある『レッドホットペッパーズ』のフライドチキン....食べたことあるかい?」


「ベガ、勘弁してくれよ!!!俺は別に組織を裏切ったわけじゃねえんだ!!ただ、巡り合わせが悪かっただけで...」



「バンッ!!」という轟音と共に、ベガと呼ばれた男の指先から高速で射出された何かがダックマンの頬を掠める。


「おい、ダックマン.....俺が聞いてるのは食ったことがあるかないかだ....質問に答えろよ?」


「わ、わるかった....だ、だから、これ以上は撃たないでくれ!!」


もう一度、同じ轟音が響く。今度はダックマンの肩口が鮮血を吐き出す。


「ウ゛っ!!」


「おいっ、結局チキンを食ったのか食ってないのかを答えろよ臆病者(チキン)野郎!!!!」

ベガの革靴がダックマンの腹へと突き刺さる。


「うぐっ.....あ、あるよ...ある!!」


「最初からそう言えば良かったんだ....で、美味かったのか?」


「う、美味かったよ..........これでいいだろ!!お前何がしたいんだ!!!」


「へえ...美味いのか.......闘技場前の『ファンキーチキン』のとは違ってトウガラシが効いてて美味いって話だが.....その辺はどうだ?」


ダックマンは唾を吐きながらベガを睨みつける。

「........お前みてえな、キチガイ野郎には味の違いなんてわからねえだろうよ」


「....質問に答えられねえやつだな、どう違うかって聞いてんだよ」

ベガは激昂して、ダックマンの顔面を蹴り飛ばす。


「お前.....やっぱイカれてやがるぜ」


「....なあ、知ってるか?フライドチキンってのはフライパンに油をたっぷりいれて底に沈めるように揚げる『ディープフライ』ってのが主流らしいがよ......そうやって、たくさん油にどっぷり浸けて揚げちまうと本来の鶏の旨みが油に逃げちまうらしい....だから、必要最低限の油で揚げる『パンフライ』っつうやり方が南部地域では主流だって話だ」


「はっ!!だからなんだよ!!」


「俺らの組織も一緒って話さ.....ムダに頭数だけいるとよ、お前みたいな野郎が旨みだけをかっ攫っちまう.....なあ?」


「は、はは......」


「それで、組織からパクった『王冠』はどこにやった?」


「し、知らねえよ...」


「はあ....あの『王冠』がうちにとってどんだけ大切なもんか、わからないお前じゃねえだろ」


「だから盗ったのさ」


「.....はあ、サイアクだぜ、せっかく大通りの劇場のチケットを取ったってのによ....今日の昼からの公演だぜ?

あーあ.....歌手のミアが来るってのによお....どうしてくれんだ、ああ?ダックマン....」

そう言いながら、ベガは大袈裟に肩をすくめて見せる。


「.....大陸一の歌姫なんざなかなかお目にかかれねえな.....その抽選に当たるたあ....一生分のツキを使い果たしたんじゃないのか?」


「お前の言う通りだな...だから、とっととこの仕事を終わらせて劇場に行きたいんだ....」


「ベガ....それはツイてねえなあ、そんな日に仕事なんてよお....」


「ああ、ツイてねえな....俺もお前も」



そうして、ベガは一人路地裏から出る。


そのスーツは先ほどとは異なり、真っ赤に染まっている。



「これで、とりあえず昼の公演には間に合うな....まあ、『王冠』はその後だ」

「パルプ・フィクション」....私の一番好きな映画です


PROFESSIONAL:専門家、その分野で生計を立てる人



ポイント増えてる!!ブクマも評価も感謝!!

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