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第二百八十四話 紆余曲折

それから一ヶ月間、俺たちはひたすらに南下した。

その途中で、農村で義輝さんが村娘に一目惚れされて一悶着起きたり、ホワイトさんが財布をスラれたり、俺が色町のキャッチに捕まったり、リイが町の腕相撲大会で優勝したり....

他にもいろいろあったもののここで語るのはやめておこうと思う。

そうして、俺たちはエスポワルまであと一歩というところまできた。

俺たちは、いつものように焚き火を囲んで野宿をしていた。

「いやー....あの娘、元気にやってますかね?」


「意外と元気にやってんじゃねえの?にしてもなあ.....【剣豪】はモテるねえ〜」


「.......下らん....が、あの娘には少々悪いことをしたかもしれぬ」


「ええ、おっしゃる通りですな....『お前のような小娘には興味など湧かん....それにお前も一生を百姓として過ごしたほうが幾分か幸せだろう』とは、少々聞いているこちらも気の毒になるような言い様でしたな」


リイは義輝さんの声真似をしながら彼が村娘をフった場面の彼のセリフを口にする。


それを聞いたホワイトさんはさらに義輝さんをいじる。

「はっ!お前さんはもうちょい色恋のイロハを学んだほうがいいな!!」


「......ふん、そう言うホワイトとて恋愛経験はないのだろう、私は政略結婚とはいえ妻も子もいたぞ?」

義輝さんはそれを受けて、意地悪い笑みを浮かべながらそう返す。


ホワイトさんは狼狽えながらも悪態をつく。

「......う、うるせえ!!」



「そういえば、この場で妻も恋人もいらっしゃらないのはホワイト殿だけですな」


リイの、ふと思いついたようなその言葉にさらにホワイトさんは追い詰められていく。

「はっ!?.....リイの旦那もかよ!!嘘だろ〜」


「ホワイト....それで何を学んだほうが良いのだ?」

さらに義輝さんが畳み掛ける。


「ぐっ.....」


「ははは、ホワイトさんは研究が恋人なんですもんね?」

俺もそれに乗っかることにする。意地悪い顔を浮かべながらホワイトさんへ語りかける。

「こ、小僧....てめーまで.......」


今日はささやかな宴会だ。

普段は酒を飲まない義輝さんやリイまでもが酒を飲んでいる。


そうして話題は変遷する。


ふと、俺は今日の日付を思い出し、とあることを思い出す。

「あっ!!俺、今日誕生日だ.......」


リイは顔を緩めて祝いの言葉を述べる

「...それは目出度いですな、おめでとうございます」


「ありがとうございます!」


義輝さんはぶっきらぼうに質門をしてくる

「ほう....いくつになったのだ?」


「19ですね」


それを聞いた、ホワイトさんがここぞとばかりにからかってくる

「お前....ハタチになってねえのに酒飲んでんのか〜?悪い奴だな〜」


「ははは...」


「よしっ!!ここは俺が一肌脱いでやろう!!リイの旦那と【剣豪】も手拍子頼むぜ!」

そうして、ホワイトさんは立ち上がり、酒瓶をマイクに見立てて大きな声で歌い始める。


「はっぴばーすでーとぅーゆーはっぴばーすーでーでぃあ【主人公】〜」

リイと義輝さんもぎこちなくだが手拍子をしてくれる。


俺はそれがどうしようもなく嬉しくて....ジワジワと心があったかくなっていくのを感じた。

「みなさん...ありがとうございます!!」


「へへ、いいってことよ!」


「ええ、私たちの仲ではありませんか」


「ふむ.....存外悪くないな」

動画かなんか撮っておければよかったのにと、この時ばかりはここが日本ではないことを悔やんだ。


そうして、それがひと段落した後、義輝さんがポツリと呟く

「それにしても、ホワイト...歌は苦手なのだな」



「うるせえやい!」



「はは....でも、俺はマジで嬉しかったですよ?」


「ええ、祝いの言葉というものはそれに込めた心に意味があるのです」


「下手ってとこは否定しないのな!!」


万能にも思える賢者様は意外にも音痴だったのだ。






ついに4ページ目!!!!!!!!



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