第二百八十三話 知らぬ存ぜぬ
俺たちはマキナを弔い、迷宮を出る。
ホワイトさんは調子を取り戻しているものの、どこか無理をしているような....
そんなとき、ホワイトさんが口を開く。
「いいか?迷宮の外はどこに奴の手駒がいるかわからん。だから、俺たちが迷宮を出た瞬間『何も知らない獣狩り』になるんだ」
「わかりました」
「承知いたしました」
「うむ」
そうして、朝日が俺たちの目を焼く。
「あーあ.....なにもなかったですね、マキナも何が言いたかったんだか.....」
「.........所詮は鉄の人形よ」
「まさに、骨折り損でしたな」
俺たちは迷宮に潜ったものの何も得ることのなかった一般的な獣狩りを演じる。
これにどこまで意味があるかわからないが、それでも....マキナの残してくれたものを無駄にするわけにはいかない。
「ああ、本当に.....人一人助けられねえどうしようもねえ連中だったよ」
きっと、俺たちの旅はまだまだ続くのだろう。
ホワイトさんと義輝さんが掲げるのは悪魔の打倒。
もし、それと未来への帰還を天秤にかけられた時、俺はどちらを選ぶのだろうか。
いや......俺は悪魔の打倒を諦めることができるのだろうか。