第二百八十二話 21gのネジ
たっぷり60秒は数えた。
「行くぞ」
ホワイトさんの号令で再度、最奥を目指す。
「岩、道を創れ」
ホワイトさんが魔術でトンネルを作り、崩壊した迷宮を進む。
皆が無言だった。
やがて最奥部へと至る。
そこにあったのは黒焦げになってすでに活動を停止したマキナであった。
「マキナ....!!」
ホワイトさんはマキナへ駆け寄り、抱き起こす。
既にマキナが活動を停止していることは明白であった。
「.........ははは」
ホワイトさんが笑い声をこぼす。
「ホワイトさん......」
「見ろよ.....こいつ、笑ってやがる」
マキナの顔には確かな笑顔が浮かんでいた。
「.....そうか、マキナは人であることを選んだのか」
「マキナ殿は『心』を手に入れられたのですね」
「ホワイト......もう問題ないか?」
そんなホワイトさんに義輝さんが声をかける。その声色に僅かな心配が混じっているように思えた。
「ああ、心配かけたな.......なあ、俺.....今、どんな顔してる?」
「........笑っているように見える」
「そうかい、そりゃよかったよ........今、腹の中は怒りでどうにかなりそうなんだ」
「.......私もだ」
そんなとき、マキナなの腕から何かが落ちる。
それをリイが拾い上げる。
「これは....デウス殿の手記、でしょうか?」
「リイの旦那....何が書いてある?」
「焼け焦げておりますので、大半の文字は判然といたしませんが.......『クローバー図書館』....『ピグマリオの日誌』.......読み取れるのはこのくらいでしょうか」
「なるほど....」
「.......ふむ」
「これは、偶然の一致なんでしょうか?」
俺は思わずそんなことを聞く。
「ああ.....ただ、こういったことを『奇跡』っつうんじゃないか?」
「はい....俺もそう思います」
ホワイトさんは岩で棺桶を作り、マキナを収める。
「.......今度ここに来る時は、俺がお前を直す時だ」
そうして、ホワイトさんは立ち上がり声高に宣言する。
「んじゃ、まあ....クローバーへ行くぞ......悪魔の野郎をぶっ殺しにな」
「はい!!」
「ええ」
「....うむ」
最後にふとみたマキナの顔は、ホワイトさんに微笑みかけているように見えた。




