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第二百七十六話 ムスペルヘイムの番人

無機質だった戦場に突然太陽が出現したかのような熱気が満ち、室内の温度が上昇する。

皮肉にもそれは、かつてホワイト自身が行った戦術でもあった。


「ははは.....マーリンの野郎もこんな気持ちだったわけか」

ホワイトは自重気味に乾いた笑いをこぼす。


「どうした?ホワイト.....降参するかい?今ならマキナさえ差し出せば、お前たちは見逃してやってもいいぞ?」


「ホワイト様、皆さんも退避なさってください!!」

マキナの悲鳴のよう叫び声が戦場に響き渡る。



「やだね、鉄屑に頭を下げるなんて死んでもごめんだ」

しかし、ホワイトは不敵に言い放つ、仲間たちもまた黙々と機械人形の軍団を処理している。

「そうか、じゃあ死ね」


「逆にスクラップにしてやるよ」

そうしてホワイトは魔術を放つ。

「水、穿て」

そうして発射された高圧の水鉄砲は、エクスに着弾すると同時に蒸発する。

「はっはっはっ!!次は僕から行くぞ!!」

そうして、エクスはその炎の拳を振るう。


「っぶねえ!!」

ホワイトはそれをかろうじて回避する。

直前までホワイトが立っていた地面はドロドロに融解している。

「ははは、あんなん当たったらペチャンコじゃ済まねえな.......加勢は期待できそうにねえしな」

ホワイトの視線の先には、機械軍団の猛攻によって体力を奪われながらも奮戦する仲間たちの姿がある。

「岩、穿て」

ホワイトは今度は岩の弾丸での攻撃を試みるも、それも水のレーザーと同様に着弾した瞬間に消滅する。


「無駄だよ、非合理的だ......全く醜いね」

そういって、エクスは鎧の一部を剣へと変形させる。

「ははは....炎の剣.....レーヴァテインってとこかい?」


「なにを言っているかはわからないが.....それが最後の言葉かな?」

そうして、エクスが剣を振り下ろそうとした瞬間....マキナがその間に割り込む。

「エクス!!やめてください!!マキナのことは好きにして構わないのでどうか...皆様のことは....」


「はあ...まあ、それならそれでもいいよ..........もう一度言うぞ!ホワイト!!降参するなら、見逃してやってもいい!!」


ホワイトはエクスの最終宣告を受け、しばし考え込む。

....そうして、ホワイトは手をあげて降参の意を示す。


「オーケー.....ただし、最後にマキナと話してもいいかい?」


「ああ、構わないよ.....僕は『人間的』だからね」


「そりゃどうも」



しかし、ホワイトの顔に浮かぶのはいつものニヤケ面であった。



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