第二百六十二話 思考回路
俺たちはなおも迷宮を進む。途中休憩を挟むということで、俺もスーツを纏って戦う。
俺とリイと義輝さん、そして、マキナが殲滅する。マキナは意外にも前衛として戦った。俺たちの足を引っ張ることない、どころか戦力の一つとして貢献する。
そして、驚くことに出現する機械人形はさほど強くはない。力も強く耐久力もあるが動きは単調だ。
要するに体のいい的なのである。ここまでの戦闘ではマキナもかなり活躍した。
マキナは右腕をチェーンソーへと変形させ、敵の鎧を切り裂く。その耐久力も相まって、かなり頼りになる前衛だ。
金属製であろう敵の鎧を木材のように切り裂く。
「敵機体沈黙、マキナたちの勝利です」
「.......機械人形といっても、所詮はただの鉄屑よ」
そう、いつものようなセリフを義輝さんが吐き捨てる
それを聞いたマキナは義輝さんへと問いかける。
「マキナでは.....お役に立てませんでしたか?」
マキナは義輝さんの裾を掴みながら言い放つ。
「うわー!!義輝さんが女の子泣かせたーー!!」
「なっ!...【主人公】、お前........!!!」
「足利殿.....淑女には丁寧に接しませんと」
「リイ、 お前まで......」
「かぁーーーー!!これだから剣術バカはなあ.....乙女になんてこと言うんだ」
「......違う、あれは敵の機械人形に向けての言葉だ」
「へえ....お侍様が言い訳ねえ」
すると、義輝さんは一瞬苦い顔をしたのちマキナへと呼びかける。
「.............マキナ、敵の機械人形に向けて言ったのだ。許せ」
......なんと、あの義輝さんがマキナの方へ顔を向け、頭こそ下げないものの謝罪をした。
「いえ、マキナには情動を司る機能は実装されておりません。ただ、皆さんの戦闘を阻害してしまったかどうかの確認をしたまでです」
「あの、義輝さんが.....」
「ご自身から謝罪をされている.....!!!」
「はっ!あのクソプライドの高い【剣豪】がねえ〜」
「.....お前達、後で覚悟をしておけ」
「義輝様......この一件はマキナが義輝様の言葉の意図を誤認してしまったことに原因があります。マキナが原因で仲違いなどなさらないでください」
それを聞いたマキナは、俺たちが喧嘩を始めると誤解したのか、仲裁に入る。
「ははは、ほんの冗談さ。気にすんなよ、マキナ」
「冗談...?」
「ああ、冗談さ」
「冗談とは?」
「うーーむ、何ていうんかね....人を揶揄って笑うための嘘ってやつだな」
「人間はそういったことを楽しむのですか?......マキナにはそういったことを楽しむ感情がありませんので、わかりません。最深部へ帰還したら、デウス博士にその『冗談』機能を実装するようにお願いしてみます」
「そりゃいいな.....ってか、そのデウスってやつはこんな迷宮の奥底で生きてんのかい?」
「はい、現在も書斎にて作業をされているはずです」
「えっ!?食料とかどうしてるんですかね....」
「それに、この暗闇で書斎に籠る.....発狂してもおかしくありませんな」
「........この迷宮の機械どもは味方を区別できないのではなかったのか?」
「【剣豪】いう通りだな、だな...こりゃ、早く行ったほうがいいかもな.......いや、手遅れか?」
すると、マキナがピタリと静止してしまう
「ホワイトさん!そんなこと言っちゃダメでしょ!」
「おっと、そうだな。すまねえな、マキナ」
「いえ、ただ....デウス博士が亡くなってしまっていると考えた瞬間、思考回路が一瞬想定外の挙動をいたしました.....これは、バグでしょうか?」
「第六十七話 伝説の記録者」を加筆修正しました
なんかランクインしてる!!感謝!!!
ブクマ感謝!!!!!!
区切りの都合上、明日四話更新する代わりに今日は一話更新でお願いします。
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