第二百六十一話 プログラミング
マキナへと自己紹介を済ませ、俺たちは迷宮へと侵入する。マキナのナビゲートを頼りに進んでゆく。
内部は貴族の館のようであった、豪華な調度品や床に敷き詰められたレッドカーペットなどは高価な雰囲気を放っている。
しかし、その場の雰囲気には不相応な機械の兵士が闊歩している。
「結構な数の兵隊がいますね.....」
「はい、各階層には二十体ずつ機械人形が配備されています」
「それが何階層くらいあるんだ?」
「六十階層です」
うげっ!!六十って.....
「どの程度の期間で踏破可能でしょうか?」
「およそ、三日と十五時間にございます」
意外と短いな....なんて思っていたら義輝さんが口を開く。
「.......休息する時間を含めろ、私たちはお前のように無尽蔵の体力は持っていない」
「失礼しました、義輝様......それですと五日と二時間にございます」
......それって、休憩必須だよな。食事は歩きながらするにしても睡眠はとらなきゃ死んでしまう。
「うわ....結構広いんですね、この迷宮......寝る場所とかあんのかな」
「マキナ殿...迷宮内に野営などをできる場所はあるのでしょうか?」
「はい、リイ様....残念ですが、この迷宮にはセーフゾーンはございません」
「左様ですか....」
「どうしましょうかね.....」
五徹したあとで、迷宮のボスと戦うのかよ。三徹くらいは覚悟していたが......勘弁してくれ〜
「マキナ.....この迷宮の兵隊は自分の持ち場以外の場所を守るのか?」
すると、ホワイトさんが変なことを聞く。
「いえ、あり得ません。マキナのような自立した思考回路を保持している個体以外は自身の担当階層以外の階層へ移動することは禁じられています」
「だろーな」
ああ、そういうことか!!
「なら、野営問題は解決だな」
「成程!!!」
「.........兵士さえ殲滅すれば、その階層は安全、ということか」
「......!!!マキナにそのような発想はありませんでした、データベースを更新します....少々お待ちを」
「命令に忠実すぎるってのも考えものってことだな」
「マキナはその点、状況に応じて柔軟な対応が可能です」
そういって、マキナは無表情でドンっと胸を叩く。
「ははは、そりゃ頼もしいね」