第二百五十八話 見かけによらず
歯車迷宮編開幕です!!!
そうして、これまで茂っていた木々がいきなりなくなって、俺たちの目の前に現れたのは、広場のような場所と、その中央に位置するハッチのようなもの、そしてその傍に佇む少し新しめの小屋だけだ。
「ついたぜ」
「ホワイト.....これのどこが迷宮なのだ?」
義輝さんはそのハッチを指差してぶっきらぼうに言い放つ。
「モノや人が見かけにはよらねえなんてことは世の中死ぬほどあるだろ?」
「......確かに、あの中からは何かが絶え間なく動いている音がいたします.......音の反響具合から考えましても....相当広い空間が広がっている様子です」
「さすがだな、リイの旦那!!」
そこで俺はホワイトさんへふとした疑問を投げかける。
「ホワイトさん.....ここ、来たことありますよね?」
普通なら、迷宮と聞いてここまで来てあんな小さいハッチだけだったら驚くに決まってる。だが、彼は当然のものとばかりに受け入れている。
「ああ、来たことあるぜ」
彼はあっけらかんと言い放つ。
「お聞かせいただいても?」
リイの言葉に答えるように彼は話し始める。
「ああ、まず、この森はな、俺がこの世界に転移した時に目覚めた場所だ。転移当時の俺はまだ、火の玉を出すにも一苦労だったがな、好奇心には勝てなくて、この迷宮...『歯車迷宮』って俺は呼んでんだが、を調べたんだ。」
そんなことを言いながら、彼は小屋へと近づいてゆく。
「......ただ、中の獣どもが予想以上に手強くてな、一層目も満足に攻略できずに引き返したってわけよ」
「......だが、なぜ、今になってわざわざこんなところを訪れる?」
義輝さんの問いに応えるように、ホワイトさんは小屋の扉を開ける。
「ああ、それはな.....こんなもん拾っちまったんだよ」
そうして、彼が開けた扉の中を覗き込む。
そこに佇むのは、一人の少女であった。




