第二百五十七話 ちょっと寄っていい?
そうして、一晩をサンバで明かした俺たちは再び旅を再開する......のだが
「あの、ホワイトさん....俺の勘違いだったら申し訳ないんですが....方向違くないですか?」
サンバの街から真っ直ぐ南下するというのが、最短ルートのはずであるのだが....やや西方向にずれている気がしてならないのだ。......そんなことを出発から三時間ほど経って、やっと確信し、指摘する。
「ああ、ちょっと寄りてえとこがあってな」
ホワイトさんはちょっとコンビニに寄るくらいの感じで言い放つ。
「寄りたいところとはなんでしょうか?」
リイがすかさず突っ込むも、
「まあまあ。着きゃわかるって」
そんな感じでかわされてしまう。
「.......ホワイト」
「そんな怖い顔すんなってよお......お前だってきっと楽しめるぜ?」
義輝さんが楽しめることなんて一つだけだ.......俺は嫌な予感をそのまま口にする。
「まさか.........迷宮ですか?」
「正解!よくわかったな小僧!」
「えぇ......」
「タコス奢ってやったろ?」
「成程....今回の件のための伏線だったわけですな」
リイは感心している。
「ははは......」
もう二度と、ホワイトさんの善意は信じないなんて心に誓いつつも、今後もこう言うことばっかなんだろうな.....何てことを考えながら、彼の案内に従ってついていく。先ほどもまで荒野だった景色はいつのまにか、森林へと変わっている。




