第二百五十五話 プロレス
カクタスタウンを出た俺たちは旅を続ける。
今は、ちょうどアルトーレと次に宿場町の丁度中間地点、街道の脇で俺たちは野営をしている
夕食を済ませ、四人で焚き火を囲み、雑談へ興じる。
クリスがお土産に持たせてくれたサボテン酒を呷りながらホワイトさんが上機嫌に話す。
「にしてもよお.....三百年後に恋人を残してるたあ.....小僧も罪な男だなあ!」
「ははは....」
「ですが、貴方を救ったというその女性....一度お会いしてみたいですね」
「.........影とはいえ、私を倒したという童の剣士、死合うてみたい」
「今は、恋バナの最中だぜ!!脳筋アホ剣士!!」
「.........誰が阿呆だ」
「たしかに、リイさんたちのこと、『黄金の矛』の皆に会わせたいなあ.....」
「小僧....聞かせろよ!馴れ初め!」
「ええ、いいですけど〜」
そうして、皆、俺の惚気話に耳を傾ける。
酔いもあってか、舌が自分のものではないかのように回る。
「それで、俺は言ったんですよ!『愛してるよアンジー』ってね」
「ヒュー!大胆じゃねえか!!」
「虚飾で飾り立てた囁くような愛の言葉よりも、実直な愛の宣言こそが真に心に響く.....ということですか」
「........ほう、続けろ」
「あはは、いや、なんか恥ずかしいっすね......こう聞きいられると.....誰か他にいないんですか?恋バナできる人...」
「私は生憎ですが....」
「......私は政略結婚だ」
「俺の恋人は研究だ」
「はあ...そういえば皆、こういう人たちだった.....」
「........武士に色恋など不要だ」
「ですが、『鴛鴦の契り』とも言います。愛する者との絆が強さにつながるという考えもあるのでは?」
「さっすがリイの旦那はロマンチストだねえ.....俺もそっち派だな」
「......何も勝負をしようというわけではあるまい」
「へっ!不利になってからって逃げんのかい?」
「.........立て、ホワイト」
「おいおい、熱くなんなよ〜」
「もー、二人とも落ち着いてくださいよー!」
今日も賑やかだ
なんかいい感じでしたけど、四章はまだ続きます