第二百五十三話 荒野の聖人
それから、俺たちはクリスの家へと戻る。
彼の家には、すでに動かなくなったメリーがいた。
彼はそれをみて、少しだけ悲しい顔をすると、優しい顔になり、彼女へとゆっくりと駆け寄る。
「メリー....全て終わったよ、ゆっくりおやすみ」
クリスはそう言って、穏やかな顔でメリーの頭を撫でる。
すると、なんと、彼女が動いたのだ。
「ク、リス....もう泣いて、ない?」
「......ああ!もう怖くない、君のおかげさ!」
「....よ、かった」
そう言うと、メリーはクリスの頭を撫でる。
クリスは涙を流すのを必死に堪えながら言葉を紡ぐ。
「メリー...君に謝らなければならないことがある」
「謝らない、で、あたし...いま、すごく幸せなの....あなたとあってから、ずっと、ね」
そう言うとメリーはそのまま動かなくなる。
「そうか、メリー....『私もだ』って言えなかったな......」
「クリスさん、貴方の想い絶対伝わっています」
「そうか...ありがとう....」
そうして、彼はメリーの死体を丁寧にベッドに寝かせ、俺たちへと向き直る。
「皆さん、お疲れでしょう.....今夜はこの家でお休みください」
「ああ、そうさせてもらうぜ」
翌朝、俺たちは街の入り口で、クリスから見送りを受けていた。
「では、みなさん...お元気で」
俺は昨晩、皆と話し合ったことを口にする
「クリスさん!俺たちの旅についてきてくれませんか?きっと、楽しい旅にすると約束します」
クリスは一瞬逡巡したのち笑顔でこう答える。
「.....大変魅力的な提案ですが、私はこの地に留まり、皆の魂の安寧を守らなければなりません」
「そうですか.....俺!クリスさんのこと忘れませんから!!」
「私もです.....貴方の誇り高い精神を決して忘れません」
「.........お前は真の武士だ」
「へへへ、色々探っちまってわるかったな!まあ、あれだ、頑張れよ!」
「皆さん、ありがとうございます。.....【主人公】さん、これを」
「これは....?」
彼が手渡してきたのは、何かの紋章のようなものが描かれたペンダントであった。
「皆さんの旅路のなかで必ずお役に立ちます、来るべき時、皆さんの旅路へ祝福の光を与えるでしょう.....皆さんが私へとしてくださったように」
「ありがとうございます!!」
「ははは、そうだ!、使徒教の祝詞をお読みしましょうか?皆さんの旅への祝福を願って」
「はっ!あんたみたいな生臭坊主の祝福なんざ、バチが当たりそうだけどな」
「ははは、神は私たちなど見てはおりませんよ、ただ、私が祈るだけです」
「へえ.....じゃあ、頼もうかね」
「わかりました、では、ご静聴を」
そうして、クリスは祝詞の名を借りた友への激励を高らかに吟じる。
それを何度も頭の中で反芻しながら、俺たちは進む。
そんな中、ホワイトさんが口を開く。
「にしてもよお、なんであいつの嫁は最後しゃべれたんだろうな、俺の魔眼はあの女は死んだ、と解析していた」
それへ、リイが答える
「愛ゆえにです」
「愛ねえ.....」
「ええ、愛です」
「まあ、たまにはそういう非科学的な『奇跡』っつうのも悪かねえか」
これにて「お盆スペシャル」は終了です!!
みなさんは今年のお盆休みもエンジョイできましたか??
私は熱中症に悩まされてました笑
まだまだ夏は続きますので、皆様もどうかご自愛ください!!
では、彼ら4人の旅は今後どうなるのか!?
今後ともお楽しみに!!