第二百五十二話 光の使徒
一筋の光と化した、クリスが無防備になった蠅の王の背中へと剣を突き刺す。
「ガッガ!?」
「貴方は!!!」
「クリスさん!!!」
「.....皆さん、どうか臆病者の私をお許しください」
「.........天晴れだ」
「へえ、ネクロフィリア野郎かと思っていたが....やるじゃねえか」
「ただ....」
俺がそう口にした、まさにそのとき。死体の波が、蠅の王へと吸収される。
「ガガガガガ!!!」
「いえ、問題ございません、奴の体をご覧ください」
そう言うと、クリスは蠅の体を指差す。
「ガ....ガガ!!...ガ?」
「傷が塞がってない!!」
「聖属性魔術で強化した一撃は、獣に決して治癒できない傷をあたえるのです」
「へえ....おもしれえじゃねえか、よし!!お前ら!クリスを蠅の目の前まで運ぶんだ!!」
「はい!!」
「承知」
「......うむ」
ホワイトさんが魔術を放ち、死体の波を蹴散らす。残った死体を俺たち三人で食い止め、奴への道をこじ開ける。
「クリスさん!!今です!!」
「........女神よ、我が剣に、聖者の影を!!!」
眩い光を帯びたクリスの剣が蝿の王の肉体を捉える。
その瞬間、眩い光が周囲を包み、それが晴れると同時に、死体たちは糸が切れたかのように地面へと倒れる。
「メリー......終わったよ」
そうして、美しい朝日が俺たちを包み込む。
五年間の長い夜が明けた瞬間であった。
「蝿の王」は本体自体はクソ弱いので「臆病者の石」は反応しませんでした。