第二百四十四話 秘密の部屋
ブクマと評価感謝!!!!
埃臭い部屋の中心に円形になって座った俺たちは会議を始める。
「.......どうすっかねえ」
「.....話を聞く限り、この街に巣食う死体の王........相当な強者だな。ぜひ戦いたい」
「てめえはそればっかだな......ただ、賛成だ。俺たちは、そいつが悪魔の手先か見極めなきゃならねえ」
「....ええ、それにこの街の人々を救わなければ」
「私も同感です」
「ただ、あの優男、不気味だな」
「ええ....腐乱した死体に欲情するなど....健全な人間の精神状態とは思えません」
「あれかね、ネクロフィリアってやつかね」
「.........ただ、このような戦場に常に身を置いているならば、精神が壊れてしまうのも無理はない」
「ただ、さっきつかった聖属性の魔術に、小僧のマジックアイテムが反応するほどの実力.....ぜひともご協力願いたいとこだね」
そんな感じで話し合いをしていると、俺は尿意を催す。
「すいません、ちょっとトイレ行ってきます」
「用心しろよ!」
「はい!」
そうして、階段を降りて一階へと向かう。
すると、ちょうど先ほどクリス達が入って行った部屋から光と声が漏れているのに気がつく。俺は悪いと思いながらも、それを覗き込む。
中には、クリスとメリーがいた。
ただ、予想に反して、淫な行為は行われていなかった。
クリスは穏やかな顔をして、メリーの髪をとかしている。
「ははは、メリー....君の髪は、女神ベッラマーニにも匹敵する美しさだ」
メリーはクリスを敵と見做し、暴れているものの、彼はそれを意に介さない。彼女はすでに魔物に成り果ててしまっている、そのため現在の状態からでは、判断できないが、彼が欲望のために彼女を捕えているようには見えない。
「..........!!!」
ふと、部屋の中の机の上に目をやる。そこには、ヘアオイルや、香水、化粧品なんかが置かれている、それもかなりの量だ.....。あのパッケージ...アルトーレの街で見たものと同じだ....それ自体は不自然ではない...ただ、何年間もこの街に閉じ込められている割には、少し潤沢すぎないか?俺は化粧などしないからわからないが、毎日こんなことしてるなら、二、三年で尽きてしまうのではないんじゃないか?奥を見ると、同じパッケージの空き箱や瓶がかなりの量転がっている。
それに、クリス...食糧を要求してきた割には血色が良かった。
....あの男は、この街から逃げられないのではなく、逃げていないんじゃないか?
俺はそんな疑問を抱えながらも、部屋に戻る。
もっと、情報が必要だ。
唐突で申し訳ないのですが、第3章の『第九十六話 時計は0時をさしている』に大幅な加筆修正を行いました。内容としましては、主人公が街で買い物する場面で彼が感じた人影の正体と、ルーナの内面描写の深掘りです。
展開についての変更は一切なく、読まなくとも一切問題はありませんが、読んでいただけると非常に嬉しいです。