第二十三話 あの声で蜥蜴を喰らうか時鳥
会話文はしばらくは前回の形式で書くことにします。
後ろ足による攻撃がくる、弾く。尾による攻撃がくる、弾く。ブレスを吐いてくる、ブレスは範囲が広く完全に反射することができないため、回避する。これをもう十数回繰り返している。これまでのゴルドたちとの戦闘での負傷に加えて、反射によるダメージ、アンジーとメルトによる攻撃まで受けているというのにワイバーンは依然として攻撃の手を緩めない。えげつない体力だ。俺も長いこと冒険者をやっているがあんなに硬い奴は初めてだ。日本でMMOをしていた頃はああいうやたら硬いエネミーとは何度も戦ってきているが、これはゲームではない。このまま疲労が蓄積してブレスを避け損ねてしまったり、魔力が尽きてうまく反射することができなければ、俺は死ぬ。盾である俺が死ねば、アンジーたちも危ない。一刻も早くやつへの有効打を見つけださなければならない。それに、生物である以上限界はあるはずだ。などと考えていると、ふと頭の中に日本にいた頃受けた高校での生物の授業で「トカゲ」について教師が話している場面が思い浮かんだ。曰く、トカゲや蛇のような爬虫類は変温動物という種類に分類されるようで周囲の温度の影響を受けやすいそうだ。他にも、生物の進化についてなんてことも話していた。なんでも、生物の進化は環境への適応を目的として行われるそうだ。なんだこれ、走馬灯か?........そういえば、なんであのワイバーンはあんな重そうな外皮を身に纏っているんだ?あいつは何で敏捷性を削ってまであんな鎧を身に纏っているんだ。あいつは何に適応しようとしたんだ。....いや、答えはさっき自分で言ったじゃないか。
寒さと暑さだ。
あいつも、他のワイバーンのような爬虫類の例に漏れず熱と冷気に弱い。
「メルトさん!!氷属性の魔術だ!!!」
「!!、冷気よ、我が声に応えて空気を歪めろ!」
案の定、冷気にやられたワイバーンの動きが鈍くなり、地面に墜落する。重要なのはここからだ。ワイバーンはまとわりついた氷を溶かし、体温を上げるためにブレスを吐く。
「それをすると思ったぜ、トカゲ野郎」
俺は、そこに突っ込みやつのブレスを反射する。やつのブレスをただ反射するだけじゃ、ダメだ。先ほども言った通り、やつの外皮は熱と冷気に適応すべく進化しているはずだ。
「でもよ、口の中までは守れねえだろ?」
やつのブレスをそのまま口の中、ひいてはやつの体の中に弾き返した。体の中を鉄さえも溶かすほどの高温で焼かれたワイバーンは死んだ。俺の....いや、俺たちの勝ちだ。
なんかめっちゃリアクション増えてる感謝!!