第二十二話 最後にもう一波乱 後編
今回だけ、会話文同士の間を一行ずつ空けています。「見やすくなった」とか「前の方がいい」とかあったらぜひ教えてください。
「なんて硬さだ!!」
颯爽と駆けつけた俺が、あのクソデカワイバーンを倒してヒーローになる。そんな展開を思い浮かべていたが、現実は非情だったというわけだ。というか、あの「黄金の矛」をここまで追い詰めるだなんて、このワイバーンは普通じゃない。ゴルドは今にもぶっ倒れそうだし、他のメンバーもフラフラだ。ここに、俺が加わったところでなんとかなるとは思えないが、やるしかない。俺を拾ってくれた皆に恩を返すなら今だ。せめて彼らだけでも生きて帰ってもらう。
「皆!!俺がこいつの気を引く!!逃げてくれ!!」
「無茶だ!!【主人公】くん。ここはリーダーとして俺が残る!!」
ゴルド...あんなにボロボロなのに...
「なら私も残ります!!」
アンジー...元はと言えば俺が不意をつかれたばっかりにこいつと戦うハメになったというのに....
「【主人公】一人に任せて逃げるなんて、男が廃る。」
「同感よ、ま私、女だけど。」
みんな....。そうだこの人たちはこういう人間だった。覚悟は決まった、いや、とっくに決まっていた。こいつを殺してみんなで帰る。
「【主人公】!!さっきの魔術、まだ使えるか?」
「まだまだいけます!!」
「では、ゴルドの代わりを頼む、皆を守ってくれ」
「任せてください!」
「アンジーとメルトは【主人公】の援護を頼む、俺は負傷したゴルドを守る」
「はい!!」
「りょーかい」
ハンゾーの指示によって各々が武器を構える。こうして彼らの戦力の一員として数えられ、あまつさえゴルドの代役を務めるだなんて昨日の俺に言っても信じないだろう。..ッと感傷的になるのは帰り道でいい。少なくとも今じゃない。俺は、今一度やつの顔を見つめる。....なんだ、意外と可愛い顔してるじゃんか。