第二百二十八話 翼の影
翌朝......俺とリイは、疲労と昨晩のアルコールで重たい体を引きずって隣の部屋と向かい、ノックする。
でてきたのは義輝さんだ。
「おはようございます」
「良い朝ですね....さて、本日はどのような予定で?」
「.........うむ......ホワイトが『今日は各自自由行動にする』と言っていた」
そう言う義輝さんの視線の先には二日酔いで苦しみながらべッドの上で唸っているホワイトさんの姿がある。
「ははは、わかりました」
「では、私たちもいきましょうか【主人公】さん」
「はい!」
そうして俺たちは部屋へと戻る。とりあえず、今日をどう過ごすか話し合う。
そうするとリイが口を開く。
「.....本日は部屋に篭らせていただいても?」
「いいですけど、どうしました?」
「いえ、この美しい街を見ていると詩作の志が高まってまいりまして.....」
「なるほど!!出来上がったら読ませてくださいね!!」
「ええ、誰よりも先にお見せします」
俺は、二日目以降に予定していた観光スポットを巡ることにする。
「じゃあ、俺は街を散策してきます」
「お気をつけて」
そうして、近所のカフェ.....「フィッシャーマン」で食事を済ませ、店を出た俺が向かうのは「ブルーバード博物館」だ。
俺たちが密猟...じゃない....環境保護活動を行なった「太古の森」、その森の生物たちの骨格標本なんかが展示されている施設だ。美術館を出禁になってしまったが、ここは大丈夫だろうかという一抹の不安を抱えながら受付で料金を支払う。
幸い何事もなく、支払いを済ませ館内を散策する。
館内は白で統一された清潔な雰囲気で、天井はガラス張りになっており、太陽が部屋の中を照らす天然の電灯となっていた。
入ったところに、大きなティラノサウルスのような獣の骨格がある。名は「顎獣」というらしい。説明文よると、現在でも太古の森に生息しているそうだ。
「おお........」
思わず声が漏れてしまう。
他にもアンキロサウルスのような「甲獣」、パキケファロサウルスのような「禿獣」.....名前酷くね?や、お馴染み「盾獣」もいる。
そんななか、一際目を引いたのは「翼獣」と言う名の巨大なプテラノドンであった。翼を広げた全長は10mにも達している。
「こんなのに襲われたらひとたまりもないな..............ッ!!」
突如、天井の窓を突き破られる。
そうして、館内へ侵入してきたのはまさにその「翼獣」であった。