第二百二十六話 頭骨の行方
太古の森をでた俺たちは、騎士団に見つからないように祈りながら、アルトーレへと向かう。
「.......見つからないんといんですがね」
「問題ねえ...てか、ちゃんと盾獣から剥ぎ取ってきたかあ?」
「.........ああ、お前が言った通り、角と鱗....あとはこのやたら大きい頭骨もな」
そう言う義輝さんの背には大きな盾獣の頭蓋骨が背負われている。
「よくやった!」
「しかし、この頭骨は何に用いるのでしょうか?顔の周囲の肉を削ぐなど、かなりの手間でしたが....それほどの価値があるのでしょうか?」
そう問うのは、盾獣の顔面の肉を怪力に物を言わせて削ぐ役を任されたリイであった
「ああ!!学術的な価値があるぜ!!」
学...術的?ま、まさか....
「ま、まさか.....ホワイトさん....その頭骨に金銭的な価値とか...」
「ねえな、角と鱗は近隣の街で売ればいいが、そんな目立つ頭骨....密猟しましたっていってるようなもんだろ」
悪びれもなく言い放つホワイトさん、それをみた義輝さんが殺気立つ。
「............お前」
それをみたホワイトは慌てて弁明する。
「い、一旦落ち着け!頭骨はスケッチが終わったらしっかり処分するし、今回の素材を売った金の分け前はいらねえからよ!!それに、売買も責任持って俺がやる!」
「......はあ、もうそれで良い」
そういうことじゃないんだけどな....みたいな顔をした義輝さんが話を締める。
「なるほど!ホワイト殿、貴方がどのような方か、このリイ...わかってまいりました」
リイは愉快そうに言い放つ
「ははは....」
俺は苦笑いを浮かべながらも、この「黄金の矛」にはない気安さというかテキトー具合が心地よく感じていた。
そうして、アルトーレの正門をくぐる。頭骨は見咎められないよう、布に包んで持ち込んだ。.....案外ばれなかった。世界一美しい街といっても、所詮は獣狩り蔓延る時代か.....