第二百二十四話 ホワイト教授の魔術教室 後編
現れた盾獣はまさしく、トリケラトプスそのものであった。
「おおおお!!!恐竜を生で見れるなんてなあ....」
ホワイトさんは歓喜の雄叫びをあげたかと思うと、急にしんみりとし出す。すると、群れの中の一際大きい個体を指差し、こう言い放つ。
「いいか!!お前ら、あのでけえ個体は俺が魔術で氷漬けにして殺す。んで、解剖する、だから、傷一つつけんなよ!!」
「はは、わかりました」
「はっはっは!承知いたしました」
「............お前という男は」
三者三様の反応を示したのち俺たちはそれぞれの獲物へと向き直る。
ます最初に動いたのは義輝さんだ。
「.........斯様な蜥蜴....ワイバーンとなんら変わらないではないか....」
そう言い放つや否や、彼に襲いかかる盾獣を二体纏めて両断する。あまりの早業のせいか、まだ、断面からのぞく盾獣の臓器は活動を続けている。
「すげえ.....これが、『剣豪将軍』...」
「これほどとは....凄まじい.....まさに達人....」
リイがその技術に感嘆している横で、俺は戦国無双で操作した足利義輝を思い出し、そのアクションゲーム的な描写があながち間違いではなかったと、そんなことを考えていた。
リイさんもまた、突進してくる盾獣を体を鋼へと変え受け止めたと思うと
「破ァ!!!」
という掛け声と共に、発勁をを放ち盾獣を肉塊へと加工する。
「さすがです!」
「.......やるではないか、リイ」
「へえ...面白い力だ....体を巡る魔力の流れにも無駄がねえ」
俺もまた、突進してくる盾獣の一撃を受け、反射する。いつもの快音と共に、頭蓋を陥没させた盾獣の死体のみが残る。
「.....ほう、不可思議な力だ」
「なるほどねえ.....こりゃたしかに『贈り物』だわな」
「【主人公】さん.....見事です」
最後は、ホワイトさんだ。
「大気、凍れ」
メルトが見たら腰を抜かすほどのごく短い詠唱と共に放たれた冷気によって盾獣を氷漬けにする。
終わってみればあっけない戦いであった。
そうして、戦闘後、素材を剥ぎ取っている二人を尻目にホワイトさんは俺へと話しかけてくる。
「おい、小僧....お前さんのギフト..『反射』だっけか、面白えな...それに強力だ。リイの旦那の『鋼質化』みてえなわかりやすい火力も、俺の『魔眼』みてえな利便性もねえが.....お前の能力はどんな強敵でもぶっ殺せる。
まさに『ジョーカー』になる。......だから、一つアドバイスだ。お前の能力は反射じゃねえ」
「えっ!?」
「まあ、正解は自分で見つけるんだな」
そういうと、ホワイトさんは盾獣の死体を解凍し解剖を始める。
俺の頭の中では彼の言葉が行き場を失って彷徨っている。
俺の能力は、「反射」じゃない......いったいどういうことなのだろうか、しかし、現に俺が今まで目撃した事象はまさに「反射」だ。..............今はこれ以上考えるのはやめておこう。変に拗れて、イップスにでもなったら大変だ。
起きたらこんな時間でした。ごめんなさい