第二十一話 最後にもう一波乱 中編
前半はアンジーちゃん視点で、後半は【主人公】くん視点です。
アーマード・ワイバーンのブレスが飛んできたら回避して、爪や牙の攻撃がきたらゴルドさんが弾く。弾いた隙に私たちが攻撃を加える。このサイクルを繰り返すことで徐々にやつの体力を削っていく。このままなら勝てるかもしれない。
「あっ」
ほんの一瞬の気の緩みだった。ブレスを回避して一瞬気を緩めてしまったのだ。死角から振り下ろされた奴の後ろ足に気づかなかった。なんとか回避しようと身を捩るも、足が絡まって転んでしまった。
...ああ、これで終わりか。できるなら最後にもう一度【主人公】さんの声を聞きたかった。
「アンジーっ危ない!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
山頂を目指して走る。とにかく走る。全力で走る。彼らの実力からして何も問題はないとは思うが。このぬぐいきれない不安感はなんだ、まさか...などと考えてしまうと嫌でもペースは早くなってしまう。
「山頂が見えてきた」
そして山頂の光景は信じがたいものであった。あの無敵にも思えた「黄金の矛」のメンバーが息も絶え絶えで苦戦している。それにあのワイバーンはなんだ、他の個体よりもデカくて鎧みたいなものを身に纏っている。
そして、今まさにあのでかいワイバーンの後ろ足がアンジーへと振り下ろされようとしている。
「アンジーっ危ない!!!」
ワイバーンの攻撃がアンジーの体に届くその瞬間、一か八か体を割り込ませ反射を発動する。
「弾けええええええ」
ッキーン!!
人一人をグチャグチャにするには十分な一撃を反射されたワイバーンはグチャグチャにな......らなかった。俺たち人間にとって致命の一撃を反射されてもなお、奴は少し顔を歪めた程度で依然として俺たちを睨みつけている。ただ不思議と今の状況に絶望はない。それは仲間たちと合流できたからか、それとも俺が以前よりも格段に強くなったからか
「【主人公】さん...今の..」
「アンジー、詳しい話は後だ。今はやつを倒すことに集中しよう」
戦闘描写ってむずいすね