第二百二十一話 各々の信頼
部屋のベッドに腰掛けた俺とリイは、ふう、と息を吐きながらリラックスする。
「いやー....ビビりましたねえ....殺しあうところでしたよ」
「あのまま殺し合っていたならば...死人が出ていました。そして、それは我々であった可能性が高い」
「ほんとに、協力関係が築けてよかったです」
「ええ.....ですが、我々と彼らの目的は似ているようで大きく異なります。ホワイト殿はこの件を先送りにされていましたが、我々の間では同意を形成しておくべきでしょう」
「そうですね........俺としては三百年後への帰還を最優先に動きたいです。もちろん、ホワイトさんや義輝さんの目的の手伝いもしたいですが.....まずは、アンジーに、『黄金の矛』のみんなに会いたいです」
「私もそれがよろしいかと、足利殿の『誓い』は大変素晴らしい動機であると考えますが、貴方には貴方の都合があります。私は、【主人公】さんの判断を全面的に支持するつもりです」
「.....リイさん!!!本当にありがとうございます!!」
「いえ、礼などは不要です」
ああ、やっぱり、この人は......尚更、俺が帰還した後の彼の人生について真剣に考えなくては.....
「しかし、足利殿やホワイト殿自体は、信頼してもよろしいかと」
「ええ、あの人たちも自身の『過去』という最大の弱みを俺たちに話してくれました。それを信用しないのは不誠実ですもんね」
「おっしゃる通りです」
一方で、【剣豪】とホワイトもまた、部屋のベッドへと腰掛け、話し合う。
「.........して、ホワイトあの二人、どう考える?」
「.......小僧の方は、一言で言うなら『良いやつ』だな。他人の痛みを自分のもののように苦しむことができる。.....こんなクソみてえな世界で、よくもまあ、あんな善性を保ってられる。相棒の獣人もあの小僧に救われたクチだろーな。だから、どちらか片方を絆して。こちら側に引き込んで数的アドバンテージを得るっつうのはムリだろうな。ま、そんなことするつもりもねーが」
「.......あの、童が仲間の元へと帰りたいと言うならば、助力してやれば良い。ただ、私たちの目的にも協力させる。それだけだ」
「だな、俺としちゃあ、久しぶりに出会った同郷の人間だからな、仲違いはしたくねえ」
「.....であれば、方針は決まったな。明日は、あの二人と共に獣を狩るのだろう?私は寝る」
「へいへい、そうしときな」
そう言いながらもホワイトは、窓際の机へと座り。
バックパックから酒瓶を取り出しそれを呷ると、なにやら紙束へと書き込み始める。
その紙束の表紙には「千年伝説」....とだけ記されている
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