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第二百十四話 羊角
その絵画に描かれた悪魔は、羊のような下半身に痩せこけた人間の上半身、そして頭に生えた二本の角、という悪魔のテンプレートのような格好をしており、その姿だけでいえば、俺やリイが目撃した「悪魔」とは似ても似つかない。
ただ、問題はその「顔」だ。
眼球は、本来、白目であるべき部分が黒く染まり、瞳が赤い。口は醜く歪み、顔全体はまるで、こちらを見透かしているかのよう。あの顔を忘れるはずがない。
しかし、俺の心に現れるのは恐怖ではない。
「リ、リイさん......」
「ええ、我々は我々が思っているよりも『悪魔』へと近づいているということです」
「こいつの軌跡を追えば....俺は未来へ、皆の元へ帰ることができる!!!」
「ええ、仰る通りです」
「では、引き続き【剣豪】とホワイトを探しましょう!!」
「へえ、誰と誰を探すって?」