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第二百十三話 顔

館内には無数の作品が飾られている。三百年後でもみたことあるような作品もちらほらある。

例えば、「ラッセル・アクア」の「白鯨」。巨大で真っ白な肉体を持つ鯨を描いた作品だ。絵自体も相当大きく、まるで鯨を閉じ込めた水槽が置かれているかのようだ。

「うわ!!おっきいですね...この絵....」


「ええ、それに非常に写実的な絵です....書き手の凄まじい技量と卓越した美的感覚が見て取れます」


「俺、この鯨の絵見たことありますよ!三百年後のマジリハって街の冒険者ギルドに飾ってありました....まあ、縮小されたレプリカですけどね....」


「何百年もの時を超えて、己の作品が残り続けるというのは少々羨ましいです」


「......リイさんの詩は俺が決して忘れませんよ」


「ははは、であればもっと凝った詩を読むべきでしたな」


そんな俺たちはピグマリオの絵が飾られているゾーンに辿り着く。先程の学芸員のお姉さんの話によると、彼は彫刻家として以外にも、画家としても相当有名..というかむしろ画家の方が本業だったそうだ。

作品のほとんどは典型的な宗教画である。

「やっぱり、こう見ると相当熱心な信者だったんですね.....」


「ええ、それに、作品自体も相当書き込まれています。これほどの作品.....数カ月、もしくはそれ以上の時間をかけて作成されていm......こ、これ、は!!」

飾られている絵を眺めていたリイが彼らしからぬ声をあげて、硬直する。

「リイさん!どうかしまし...た、か?..........こ、これは!!」


俺たちの視線の先には一枚の絵画があった。

その作品の名は「微笑み」

それは、女神ベッラマーニが悪魔へと槍を突き立てるというごく普通の使徒教の宗教画....問題は、その悪魔だ。


俺はその()を見たことがある。


俺を電車のホームへと叩き落としたあの男......全ての元凶.....あの「悪魔のような顔」であった。



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