第二百六話 アルトーレにて
「ここが、アルトーレ..........とんでも無く美しいですね」
「ええ、まるで別の世界にいるかのような心地です」
水の都、アルトーレ。その街並みはかつて旅行番組か何かでみたヴェネツィアとよく似た美しい街であった。付近の湖から引いてきたという水路の水は底まで透き通っており、中をニジマスのような魚が泳いでいる。サファイア宝石の中に、魚を閉じ込めた....そんな感じがする。
今、俺たちは街に張り巡らされた水路の上を進む舟に揺られている。
「景蒼宝水溶
眼大为高兴
匹敌南面位
辛苦还都溶」
そんな中、リイがポツリと呟く。
「リイさん、どうかしましたか?」
「....いえ、この街の景色があまりにも美しいので、つい詩をを詠んでしまったのです」
そう言うリイは少しバツが悪そうに答える。リイはこの話をもう終わらせて欲しそうだったのだが、少し悪戯心が湧いた。
「ちなみに、どんな意味なんですか?」
「.........街の景色が宝石のようで、あまりにも美しいので、これまでの旅の過酷さを忘れてしまいそうだ......という意味です」
難しい漢詩のことや、その技法についてはさっぱりであったが、ひとつだけ思ったことがある
「綺麗な詩ですね」
「......ただの凡庸な詩ですよ」
その言葉に反して、リイの顔には笑顔が浮かんでいた。俺はその笑顔の方が、よっぽど宝石のように見えた。
ついに第四章「南海探究編」開幕です!!!
新章開幕!!!!!!!!!
作中の漢詩は自作してみたのですが、出来がとんでもなく稚拙なのでChatGPTクンに解説してもらったものをコピペしておきます。多分基本ルールすらもおぼつかないものですが、大目にみてください。李徴に下手くそな詩を詠ませてごめんなさい!!!
【書き下し文】
景色は蒼く、宝の如き水に溶け
眼は大いに喜びと為る
南面の位に匹敵し
辛苦も還た都に溶ける
【現代語訳】
目の前に広がる景色は、どこまでも青く澄み渡り、街全体がまるで宝石のような美しい水面に溶け込んでいるようだ。
その光景は、見る者(私)の心を大きな喜びで満たしてくれる。
この街の素晴らしさは、天子(王)が南を向いて座る、あの至高の位にも匹敵するほどである。
これまでの旅で積み重なった苦労や心の痛みさえも、この美しい都の景観の中に、すべて溶かされていくようだ。
ブクマ感謝!!