第二百一話 朋友よ
今にも、俺へと爪を突き立てようとしていたリイの瞳に理性が蘇る。それは、紛れも無い人の瞳であった
「......【主人公】さん、いえ、ここは敢えてこう呼びましょう朋友よ、私は獣へと成り果てずに済んだ。貴方のおかげだ」
「はじめから、リイさんは獣なんかじゃなかったんですよ.....じゃあ、早速で悪いんですが.....」
「ええ、お任せを。あの獣を打ち砕いてご覧に入れましょう」
「やっとか、獣人!魔力が尽きるところだったぞ!!」
そういうロックの顔は吐き出す言葉に反して笑顔に満ちている
そうして、リイは金剛虎へと接近する。
「破ァァァァ!!!!!!」
そうして、震脚と共に今日一番の発勁を叩き込む。
金剛虎の体に僅かにヒビが入る。
金剛虎はリイへと慄き、飛び退こうとする。
しかし、ロックの岩の兵隊がそれを許さない。金剛虎は岩の兵隊に阻まれ動けない。
「........獣人、逃すな!!」
「わかっておりますとも」
肘鉄によるリイはそこへさらに追撃を加える。
「憤ッ!!!!!!」
亀裂が徐々に広がってゆく
しかし、拘束された金剛虎は自由に動くことを許されない。
リイは一度飛び退き、トドメの飛び蹴りを放つ
「Guaaaaaaaaaaaaaa」
金剛虎は悲鳴のような鳴き声を上げながら粉々に砕け散った
飛び散った破片は、光を反射してキラキラと輝く、その中心に俺たちを讃えるかのように巨大な宝石が鎮座している。
「さすがです!!!!リイさん!!」
「よくやったぞ!!!!獣人!!」
俺とロックはリイへと駆け寄る。
リイはそんな俺たちへ優雅に一礼する。