第百九十八話 金剛石 Ⅱ
リイの渾身の発勁を喰らってもなお、金剛虎はびくともしない。その事実に俺たちは絶句していた。
「「「っ!!!」」」
「リイさんの発勁が通じない.....」
「まずいじゃないか!....ちっ」
ロックはそう言うと魔術を詠唱する
「岩よ、意思を持ち、我が近衛となれ」
そうして、ロックの魔術によって創造された岩の兵隊が金剛虎へと襲い掛かり、足止めをする。
「これで、しばらくは時間を稼げる」
「.....そうだな、今のうちに策を練ろう」
「承知しました」
まず確認だ。
「リイさん、先ほどの発勁の時、体の鋼質化はどの程度していましたか?」
「全身の骨格と拳を鋼質化させていました」
「.......発勁の威力自体は十分だった、あの虎が硬すぎるんだ」
「じゃあ、【主人公】...きみのあの魔術はどうだ?まだ試していないし、みたところ敵の攻撃力を利用しているんだろう?ならば、有効な可能性がある」
「.....だな」
そうして、俺は金剛虎へと近づき攻撃を誘う。幸い、知能はあまり高くないのかバカ正直に俺を攻撃する。
「....ぐっ!!」
そうして、攻撃を反射するも大した傷はつかない
後方から再度ロックが詠唱する声が聞こえる。
「炎よ、刃となりて、魔を切り裂け」
炎によって生み出された斬撃が虎を襲うも大したダメージはない。
「破ァ!!」
リイも追撃をするも、それもノーダメージだ。
そうして、再度岩人形が虎を足止めする
「.......火属性魔術も通じないか、僕の魔術は足止め以外では役に立たんな」
「私の武術も、【主人公】さんの反射も通じない」
「さらに、鈍重というわけでもないから、逃げ切れるとも思えない....か」
「まあ、僕は逃げるつもりはないがね」
「俺もです」
「無論、私も」
ただ、これは虚勢に近いものであると全員が気がついていた。