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第百九十四話 狂った世界で
迷宮内部を進んでいく。中層も終わりへと向かい、下層部に到達するかどうかといったあたりだ。ここまでくると魔物の数も減っており、俺たちは警戒をしつつも暇を持て余していた。
そんななか、ロックが口を開く。
「君たちは随分仲がいいね....であって間もないというのは信じられない.........どっちかが自分を利用しようとしているとか、そういったことを疑わないのかい?」
それに今度は俺が答える。
「ああ、俺とリイさんは仲間だから、互いを疑わない。それが礼儀だと思っている」
「......変わっているな君たちは、まるで別の世界の人間みたいだ」
「ははは、かもな.....ロックはそういった相手はいないのか?」
「愚問だね、この狂った世界で信じられるのは自分の力だけだ」
「.....そうか」
「そうさ」
俺たちの間に気まずい沈黙が流れる。
そんな沈黙を打ち破るかのようにリイの声が響く
「獣です、かなり大きい」
そんなリイの声に応えるように現れたのは全身をサファイアのような宝石で構成した巨大な怪鳥であった。