表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

206/374

第百九十話 天才魔術師

斧による一撃を回避した僕の状況は依然として悪いままだ。あの巨体、そして宝石の肉体。悔しい話だが、あいつらの足止めなしでは相当厳しい。あんな連中であっても彼らなしでは迷宮のボスですらない獣相手にこのザマ。

そんな自分に腹が立つ、が今更怒ったところで状況は悪化するばかりだ。僕は落ち着いて、ミノタウロスの動きを観察する。体格は典型的な逆三角形で、上半身が肥大化している反面、下半身はそれほどでもない。それに、僕が回避できるレベルのスピード、加えて、逃げようと背を向けた二人を追撃しようとしないこと....などからわかるのは、アイツはそれほど素早く動けないということだ。であれば、やりようはいくらでもある。僕は、懐にしまってあるワイヤーを取り出すと、ミノタウロスへ向けて走り出す。

そのまま、奴の足の間をスライディングで通り抜け背後へ回る、奴の足にワイヤーを引っ掛けながら。

僕を攻撃しようと、身を翻した奴はそのまま転倒する。巨大な体と迷宮にいるという要素にビビっていただけで結局は大柄で鈍重な獣だ。


「岩よ、弾丸となりて魔を打ち砕くのだ!!」

身動きを取れなくなった奴の体へ岩で生成した弾丸を打ち込み続ける。



百発ほど打ったあたりで、奴の体にヒビが入り、砕け散った。僕はその死体へ近寄ると心臓を拾い上げる。貴族時代に見た南国のヤシの実ほどの大きさのそれをバックパックへしまう。これだけあれば、向こう二年はなにもしなくても食って行ける。


ただ、少々体力も魔力を使いすぎた。しばらくは休憩だ。...ただ、進むにしても退くにしても前衛なしでは危険だ。


ただ、弱音は吐かない。僕はこの程度じゃ、死なない。いや、死ねないのだ。


そんなことを考えながら時間を潰していると、僕たちが通ってきた道から二人分の足音が聞こえる。


さて、鬼が出るか蛇が出るか.....僕は立ち上がって、警戒体勢をとる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ