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第百八十九話 カス
そんな話をロックの取り巻きから聞いた俺たちは、手下の剣士どもが記録していた中層以降の地図を奪うように受け取ると、彼らをおいて、迷わず先へ進む。
剣士二人は
「俺たちの見つけた獣を横取りする気か!!」
や
「ロックに媚び売って甘い蜜吸おうたってそうはいかねえぞ」
などと宣っていてうるさかったので、俺とリイで一発ずつぶん殴ってから
ただし、彼らがロックを見捨てた場所まではリイの全力疾走でも一時間はかかる。これは自己満足だと分かりながらも俺たちは迷宮内を速足で進む。
中層以降もそれまでと出てくる敵は大して変わらず、変わり映えもしない。
俺は進みながら口を開く。
「あの剣士の二人組も体つきや身のこなしを見ると相当な実力者のはず。そんなあいつらが即座に逃げ出すほどの魔物相手に魔術師が単独で立ち向かって勝てるとは思えません」
「ですが、それが行かない理由にはならない、でしょう?」
「ええ、リイさんのいうとおりです」
「それでこそ貴方だ」