第百八十五話 紅玉
迷宮を進む。金剛石迷宮は洞窟のような構造をしているため、比較的涼しい。しかし、そんなことを考えていると凄まじい熱気を感じた。先行しているリイがピタリと止まる。
「敵ですか?」
「ええ、先ほどとは異なり大物のようです」
そんな俺たちの前にあらわれたのは真っ赤なルビーのような体をした体長2mほどの鳥だ。
その姿は鷲のような空を飛ぶタイプの鳥ではなく、ヒクイドリのような翼が退化したタイプの鳥だ。その脚部は大きく発達しており、いかにも肉弾戦が得意ですといった感じだ。
「......近接戦特化って感じですかね」
「おそらく....ただ、この熱気.....火属性魔術を用いるやもしれません」
「あの体....ルビーでしょうか....」
「紅玉製の鳥.....非常に幻想的だ」
「!!、リイさんきます!!!」
「お任せを」
紅玉の鳥は予想通り、リイへ向けて飛び蹴りのような攻撃をする。
「.....所詮は獣ですね」
リイは外皮の一部を鋼質化させて受け止める。鳥は一撃を受け止められると同時に飛び退き、口を大きく開く。
「キエエエエエ!!!!!!!!」
耳をつんざくような、奇声と共に口から放たれたのは炎のブレスだ。
俺はそれとリイの間へ割り込み、反射する。しかし、紅玉の鳥はピンピンしている。
「.....そう甘くないってことですかね」
「でしたら、私が」
そういうや否や、リイは鳥の懐へと踏み込み発勁を放つ。
「破ァ!!」
紅玉の鳥は粉々になった。
リイがその欠片に混じった拳大の塊を拾いあげる。
「.....体の大部分は一銭の価値もない結晶ですが、心臓と思しき部位だけは本物の紅玉のようです」
「紅玉ってルビーのことですよね、結構値が張る感じですか?」
「ええ、このサイズと純度ですと....一月は飢えずに済むかと」
「すごいですね!!持って帰りましょうよ!!」
「ええ」
「にしても、この鳥もさっきのゴブリンやワイバーンもなんなんでしょうね....」
「さあ、ただ、この迷宮は普通ではないということさえわかれば十分でしょう」
「ですね」
俺たちはさらに暗闇へと潜る。
それから、しばらくしてリイの聴覚が異常を察知する。
そうして、俺たちの前へと現れたのは、ロックの取り巻きの剣士たちであった。
ついに3ページ目!!!