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第百七十八話 職人魂

俺とリイはカハートの街を進む。

街の雰囲気は、日本の西成のようなドヤ街を西洋風にしてさらに汚く、荒々しくしたような雰囲気だ。馬車の御者がこの街の手前で俺たちを降ろし、馬車を乗り替えるように言ったのも頷ける。ただ、一度乗せたのなら責任を持って運んで欲しいというものだ。ただ、そんな御者からもいくつか役に立つ話が聞けた。たとえば、装備の話だ。この街には鉱山で働く労働道者が多くおり、そういった彼らが仕事で身につける衣服は頑丈で着心地もなかなかのものらしい。それに、この世界の鉱山は魔物が出るので、鉄板などが使用されたものが多いというのもある。そういえば、ジェットもこの町で買ったという服を着ていた気がする。

ということで、俺たちはジェットから聞いたこの町一番の質というの服屋へと向かう。

そうしてたどり着いた服屋も例に漏れず汚い。

「......本当に、ここですかね?」


「ええ、たしかに教えていただいた店の名前ですし、中から布のにおいもします」


「じゃ、じゃあ、入りましょうか」

そして、中に入るとそこにはいかにも職人気質といった感じのドワーフのおっさんが座っている。

「いらっしゃい!!ここはカハートで一番の作業着屋、『スタンリーショップ』だ!!.......なんだてめーら!!獣狩りか!!!ったくよお....俺様の服は殺しの道具じゃねえっての......」

と、なにやらご立腹の様子だ。

ま、そうなるよね.....労働者たちのための服が殺しの道具として評価されるというのは気持ちのいいものじゃないだろう。....ただ、強力な装備というものは命に直結する以上、妥協するわけにもいかない。とりあえず、プライドをくすぐってみるか......

「失礼しました....しかし、ジェットという友人がこの店の商品のおかげで迷宮から生還できたと言っておりまして.....」

ジェットさん、ごめん!なんて、心にない謝罪をしながら、スタンリー氏の様子を伺う。

「へ、へへへ、そうかい、ジェットつったら、あの聖剣迷宮を攻略したとかいうジェットだろ?まじか、あの野郎..そんなことを.....」

めっちゃニヤケてやがる。このおっさん、わかりやすいな。

「ええ、ですので、俺たちもぜひここで装備を整えたいと...」


「なるほどなあ!!じゃあ、好きに見てってくれ!!うちの服は鋼の剣だって通さねえぜ!!」

そうして、俺とリイは店内を物色する。商品は、壮絶の一言であった

「.....すごいな」



「.....素晴らしい」


「だろ!!俺の技術はロウサイで一番だからな!!」

三百年後どころか、日本においてもこれほどの質のものはなかなかないだろう。ワー◯マンとかに売ってそうなレベルだ。俺はジャケットやズボン、ブーツなどを試着し、買うものを決める。

問題はリイの分だ。

「....さすがに、リイさんの体格に合うものはありませんね」


「ええ、ここならばあるいは、とは思ったのですが.....」


「まあ、しょうがないですね......」


「ええ、この辺りに獣人はあまり住んでおりませんので、購入できないというのも自明かと」

そんな俺たちの会話にスタンリーが割り込んでくる

「聞き捨てならねえなあ!!おい!!確かに今は、そこの獣人の旦那の体格に合うものはねえけどよお!!買えねえってのは間違いだ!それに、ほかのクソみてえな店と一緒くたにされてんのも気に食わねえ!!」


「では、あるんですか?リイさんでも着れる服が?」


「今はねえ....ただ!今から作る!!三日待ってろ、それまでに世界一の服を作ってやる!!」

そう言うや否やスタンリーはメジャーを持ってリイの体を測定し始める。その手つきは荒っぽい言動に似合わず繊細だ。それを見てリイは感謝の言葉を伝える。

「感謝いたします」


「礼なんていらねえよ!これは、俺のプライドの問題だ!!!」

そうして、三日後に会う約束をして俺とリイは店を出る。

つーか、このおっさん....どんどんスケールがでかくなってんな

ブクマ感謝!!!

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