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第百七十一話 友よ

俺は、呆然として立ち尽くしていた。彼が最期に言った「毒」とはなんなのか....。

俺は薄々勘付いていた、俺の理想はこの世界で生きる足枷になると。

ただ、あの男はこうも言ったそれは「美徳」だと......。

わからない。

ただ、一つだけわかったこともある。


彼は俺なのだ。


スコーピオは「野心」という、自分の心の中にある「理想」に振り回された結果、賊の頭領となり悪事を働いた。彼もまた、俺と同じように罪悪感を覚えながらも、「理想」を実現するために自らの手を血で汚した。俺も同じだ、「理想」へと近づくためにアレンを殺し、賊の子分を殺した。


「他者への不信」......俺とスコーピオの根幹にあるものは同じだ。ただ、周囲に恵まれたかどうかだけの違い。

彼はその「不信」を克服させてくれるような友人に出会えなかったんだ。


であれば、俺がやることは一つだ。


俺は、メルトが詠唱していた火属性魔術の詠唱を思い出しながらそれを詠唱する。

「精霊よ、我に、浄化の炎を授けたまえ」

そうして、灰となったスコーピオの死体を海へと撒く。


そして、俺は()へと別れを告げて。リイと少女を連れて、立ち去った。


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