第百七十話 甘い毒
全てを語り終わったスコーピオはぶっきらぼうに言う。
「オーケー...俺は全部話したぜ...さ、殺しな」
「....ああ」
ただ、俺の体は動かない。魔力切れではない。
「なんだよ...ビビってんのか?」
「.........黙れ」
スコーピオの瞳には好奇の色が宿っている。
「へえ...俺の部下は迷わずぶっ殺したのになあ....お前、あれか、意識して人をぶっ殺したことねえタイプだろ」
「........」
「ビンゴ!!いるんだよなあ...お前みたいな甘ちゃん.......まあ、人殺しなんてのはやったあと最悪の気分になるからな」
「....お前のような男でも、罪悪感を感じるんだな」
「.......しゃーねーな」
そう言うと、スコーピオは懐にしまってあった短剣に手をかける。それを見た俺は身構える。
「!!!」
「ちげーよ...さっきのは俺を倒したご褒美だ。んで..これは、お前の見せた覚悟へのご褒美だ.....ただ、忘れるなよ、お前のその甘さは美徳でもあるが、お前自身や仲間の命を蝕む『毒』にもなる」
そう言うや否や、スコーピオはその短剣で自分の喉を貫いて死んだ。
ここまで読んだ方はわかるかもしれませんが、私はいま、「ダーティ・ハリー」にハマってます