第百六十七話 正義執行
立ち上がって、魔術を詠唱する俺を見てスコーピオは驚きの声を上げる
「おい!どうなってやがる!!俺のガスは無敵のはずだ!!」
「ちゃんと効いてるさ....ただ、俺は今、虫の居所が悪いんだ」
「はは、なんだそれ.....チョーおもしれえじゃねえか!!!」
そう言うとスコーピオは逃げずにレイピアを構える。
「....逃げると思ったよ」
「ハハハハ!!!逃げねえよ、敵に背を向けちゃあ...スコーピオ様の名が廃る」
「そうか....」
そこからは単純なインファイトであった。俺の拳がスコーピオの体を砕き、スコーピオのレイピアが俺を抉る。時間にしてわずか五秒にも満たない時間であったが、先に限界が来たのはスコーピオだ。俺の一撃が腹にクリーンヒットしたスコーピオは嘔吐しながら、地面へ倒れ込む。折れたアバラが内臓に刺さってる、もう終わりだろう。
「ぐあっ!クッソオ.....ここまでか....」
そう言うと、ガスが消失する。
「はあ、くそ、俺の負けか....とっとと殺せよ」
「殺す前に一ついいか?」
「なんだよ?」
「お前のそのガスの能力....どうやって手に入れた?」
「....なんで、そんなこと......まあ、いっか、話してやるよ、俺からお前へのご褒美だ」