第百六十五話 毒蠍スコーピオ Ⅱ
なにか紫色のガスのようなものが倉庫内に充満していく。それと同時に、俺たちを襲うのは強烈な「吐き気」だ
「な....んだ、これ」
周りを見ると、構成員やカラム兄弟、少女はすでに嘔吐している。リイもまた、口を抑えてうずくまっている。
俺も必死に吐き気に耐えながらスコーピオを睨みつける。スコーピオはそんな俺たちを見ながらニヤニヤ笑っている。
「これは、化学ガス...なのか」
「化学ガスってのが何なのかは俺にはよくわかんないけど...まあ、吸ったら吐いちまうガスさ...ヘイヘイ!!吐いちまえよ〜」
そう言いながらスコーピオは俺の腹を蹴飛ばしてくる。
「お、おまえ...うっ!」
俺は耐えきれず嘔吐してしまう。胃の内容物を全て吐き出したというのに、吐き気は消えずむしろ増している。
「ヘイヘイ!ボーイ!さっきまでの威勢はどーした?」
「こ、この!」
「あっぶなーい!!」
俺は何とか立ち上がり、スコーピオへ殴りかかるも強烈な吐き気に邪魔されてうまく動けない。
「ところで知ってるかい?ボーイ....人間てのは吐き過ぎると、喉の中の管が裂けちまって死ぬんだぜ」
「俺はよお...そうやって調子乗った奴が無様にゲロまみれで死んでくのを見るのが大好きなんだ!!」
「.....うっ」
俺は二度目の嘔吐をする。スコーピオは先ほどのように俺の嘔吐をうながしもせずそんな俺の嘔吐する姿を見ながらニヤニヤしている。
「あーあ、また手下どもが壊れちまうな......どうすっかなあ」
「ボ、ボス....俺たちにかかってる能力を解除してくだせえ...死んじまいます........うっ」
「悪いね、俺の能力は無差別なんだ、お前らにはここでこいつらと死んでもらう」
「そ、そんなあ....で、でもボスだって...そんなガスの中にいたらヤバいんじゃ....」
「バーカ、蠍が自分の毒で死ぬかよ!!」
なんとかしなくては....
俺は何とかこの状況を打開すべく、頭を働かせる。
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