第百六十四話 毒蠍スコーピオ Ⅰ
スコーピオの攻撃が俺の体を抉っていく。俺は覚悟を決めてアレン戦でつかった魔術を詠唱する。
「主よ、我が身に宿るは理想、誓うは正義」
そうして、俺の体を魔術が包み込んでいく。
「ワーーーオ!!!なんてクールn....ぶべっ!!!」
俺はスコーピオの体を殴打し続ける。
「これが、お前が踏み躙ってきた人間の痛みだ!」
「こ、この、ガキ!!」
スコーピオは先ほどまでの冷静さを失っている。あと少しで終わる、そんな時だった。
「動くんじゃねええええええ!!!!!」
倉庫の中に怒号が響き渡る。
そこにいたのは、見覚えのある顔.....カラム兄弟の兄であった。横には弟もいる。その姿は、見るも無惨でもう捕食者としては生きることができないほど弱々しい姿であったが、問題は彼が抱えているものだ。
「おい、そこの獣人と小僧!!!このガキンチョに見覚えねえか?」
そうだ。彼が抱えていたのは、さきほど家に帰したはずのスリの少女であった。
「へへへ、このガキがいつもの受け渡し場所に来ないんでまさかと思って探しに出てみりゃ....あの寂れた教会から三人揃ってでてくるとはなあ!!」
「へへ、っていうことだ!!このガキぶっ殺されたくなきゃ!!抵抗すんな!!」
そうして、俺は魔術を解除し、リイは手を挙げ降伏する。
「リイさん、すいません」
「いえ、私の責任です、あの時殺していれば.....」
「ワンダフォーー!!カラムブラザーズ!!!あとで君たちにはご褒美をあげるよ!!!」
「へへへ」
「あざっす」
「さあ、ショータイムと行こうか!!!!」
そうして、俺たちは一方的にに攻撃される。体を刃物が切り裂き、あのタフなリイも苦悶の表情を浮かべている。
そんな時であった。
「いっって!!」
少女がカラム兄の腕へと噛みつき、拘束をといたのだ。リイによってボロボロにされた体では、うまく捕まえることもできずに、少女を逃してしまう。
「お兄さんたち!!私のことはいいから、こいつらをやっつけて!!!」
そうして、少女は倉庫の裏口へと駆ける。
その瞬間、スコーピオは大声を上げる。
「この、無能カスどもがああああ。オメーら全員、ゴートゥーヘルだ!!!!」
スコーピオは激昂すると同時に、彼を起点になにかガスのようなものが噴出した。
地獄が、はじまった
うおおおお!!200突破!!ありがとう!!